生物は生きていくために、生命活動のエネルギー源となる物質を絶えず外界から取り入れることが必須です。ヒトにおいては栄養素として食物を体内に取り込むことが重要です。消化とは摂取した物質(栄養素)を消化管から吸収しやすいかたちにまで分解する作用をいいます。
水・塩類・単糖類などごく一部の物質を除けば、接収されたそのままの形で吸収され、身体の一部となりうる物質は非常に少なく、多くの食物は全てなんらかの変化を受けてから摂取されます。
食物は吸収されるまでの間に物理的・化学的なさまざまな処理過程によって変形されます。食物を消化液と混和して口から順次下方の消化管へと送る物理的消化と、消化液の作用で消化管の壁から吸収しやすい低分子物質に分解する化学的消化との総合で行われるのが「消化」ということになります。
※画像・消化器系(wikipedia)
ヒトが食物を摂取し、その栄養素分を消化および吸収する器官系を消化器系といいます。消化器を大別すると、消化管と消化腺とになります。
消化管は、口腔からはじまって肛門に至る管状の器官で、この管のところどころに付随する消化腺があります。ヒトの消化管は口腔・咽頭・食道・胃・小腸(十二指腸・空腸・回腸)・大腸(盲腸・結腸・直腸)・肛門などからなります。
消化腺にも種々あり、管壁のなかにある小さな腺と、消化管から独立して1個の器官としてその分泌物を導管によって消化管のなかに送り込む大きな腺(唾液腺・肝臓・膵臓)などがあります。