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HIV感染症の経過は急性感染期・無症候期(臨床的潜伏期)・エ
イズ発症期にわけて考えられます。
・急性感染期
高度のウィルス血症が起きますが、1ヶ月後くらいから宿主側の免
疫反応がウィルスの増殖を抑えるようになり、感染から4〜6ヶ月
を経て、血中のウィルス量は平衡状態に達します。初感染後14日
目頃から、約半数の患者が、発熱・リンパ節腫脹・発疹・頭痛・下
痢などの急性ウィルス感染症状を呈しますが、半数は無症状のまま
経過します。
この時点でHIVの感染に気がつくことは容易ではありません。と
いうのは、他の急性ウィルス感染症の症状と類似しているうえに、
ウィルス抗体検査がまだ陽性となっていないことが多いためです。
HIV抗体検査が陽性になるのは、感染後26〜35日以降と考え
られています。
・無症候期
ウイルス血症はおさえられ(ウィルスの分離ができなくなる)一見
潜伏感染様となりますが、ウイルスの増殖は続いています。無症候
期の長さは個人差がありますが平均的には7〜10年間続くと考え
られています。この間にも免疫系の破壊は進行しています。
・エイズ発症期
抹消血のCD4陽性T細胞の数が徐々に低下して200個/μlを
切る頃にはエイズ発症期となり、日和見感染症や腫瘍を合併するよ
うになります。
現在は、無症候期に感染を発見し抹消血中のCD4陽性T細胞が、
200個/μlを切る前に、エイズ発症を阻止するためのHAART
とよばれる3剤以上の抗ウィルス薬を組み合わせる多剤併用療法を
導入することにより、長期のウィルス抑制を実現できるようになっ
てきました。
エイズが発症する前に診断をつけ、適切な時期にHAARTを開始
するためにも、早期診断・検査はきわめて重要です。
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