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末梢血液塗沫標本で認められる赤血球封入体や形態異常は、主に次
のようなものがあります。
1)大きさの異常(正常では7〜8μm)
・大型赤血球
9.5μmより大きいものを指し、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、葉
酸欠乏性貧血などで認められます。
・小型赤血球
6.0μmより小さいものを指し、鉄欠乏性貧血や鉄芽球性貧血で
認められます。
2)色素の異常
・淡染性
鉄欠乏性貧血のように赤血球がヘモグロビンに乏しい場合に淡く
染色されることにより観察されます。
・濃染性
悪性貧血の場合に多く見られ、赤血球がヘモグロビンに富むため
濃く染色されます。
・多染性
正常赤血球は酸性色素により染色されますが、塩基性色素にも染
色されるものを多染性と呼びます。主にも網状赤血球のような幼
若なもので赤血球の再生が旺盛の場合に多く出現します。
3)封入対など
・好塩基性斑点(basophilic stippling )
ライト染色で青灰色に染色される斑状・顆粒状の斑点で、RNA
の残留物と考えられています。鉛中毒やサラセミアで出現します
が健常幼児でも認められることがあります。
・パッペンハイマー小体(Pappenheimer body)
濃青〜紫色に染色される斑点で鉄芽球性貧血や摘脾後に認められ
ます。
・ハウエル・ジョリー小体(Howell-Jolly body)
脱核の際の核の残留物で、悪性貧血や摘脾後の赤血球に認められ
ます。
・マラリア原虫
マラリア原虫の赤血球寄生によりシェフナー斑点やモーラー斑点
が認められます。
・カボット環
円形や8の字型線状の封入対で、赤芽球内microtubulusの残留物
です。摘脾後や重症の貧血で認められます。
・赤芽球
髄外造血や高度の溶血性貧血などにより、通常は骨髄に留まり末
梢血には出ない赤芽球が認められるようになります。また赤白血
病では赤芽球細胞が増生し、末梢血の多数出現します。
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