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末梢血液塗沫標本で認められる赤血球の形態異常は、主に次のよう
なものがあります。
・破砕赤血球(schizocyte)
網細血管内皮に異状な凝固槐ができることで、血管の内側へ向けて
トゲが出た状態になると、そこを本来ぎりぎりのスペースで通過す
る赤血球は、棘でボロボロに壊れてしまいます。断片赤血球とも呼
ばれ、ヘルメット型や三角形などの形態学的な不定形を示します。
主にDICや尿毒症、血栓性血小板減少性紫斑病、人口弁置換術後
や溶血性尿毒症症候群などで多数認められ、赤血球破砕症候群と呼
ばれます。診断には間接ビリルビン増加やハプトグロビンの減少な
ど、溶血性貧血の検査所見が必要とされます。
・球状赤血球(spherocyte)
直径は正常赤血球より小さく中央が厚くなっている赤血球。セント
ラルパーラー(通常の赤血球で観察される中央の淡い部分)が消失
し、色が濃く見える。赤血球障害により凹状構造が維持できなくな
ると出現します。遺伝性球状赤血球症、自己免疫性溶血性貧血など
で認められます。
・標的赤血球(codocyte、target cell)
弓矢の標的のように中心部と辺縁部が濃く染色される赤血球。鉄欠
乏性貧血・サラセミアなどの異常ヘモグロビン血症、摘脾、高度の
閉塞性黄疸などで認められます。
・涙滴赤血球(dacrrocyte)
辺縁の一方が突出して涙滴状になったもので、骨髄線維症、サラセ
ミア、悪性腫瘍骨転移などで認められます。
・楕円赤血球(elliptocyte)
楕円状になった赤血球が25%以上占めるもので、遺伝性楕円状赤
血球症、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血などで認められることがあ
ります。
・有棘赤血球(acanthocyte)
辺縁部に数本〜20本程度の突起がみられる赤血球。無β−リポ蛋
白血症などの脂質代謝異常や、アルコール性肝硬変、摘脾などで認
められます。
・鎌形赤血球(drepanocyte)
三日月形をした赤血球で黒人に多いHbS症で認められます。
・うに状赤血球(echinocyte)
こんぺい糖状の赤血球で有棘赤血球と比べ、棘の形が丸い。溶血性
尿毒症やpyruvate kinase欠損症などで認められます。
・有口赤血球(stomatocyte)
遺伝性有口赤血球症や重症肝障害などで認められます。
・菲薄赤血球(leptocyte)
ヘモグロビンの含有量が少ない赤血球で鉄欠乏性貧血や鉄芽球性貧
血、閉塞性黄疸で認められます。
・連銭形成(rouleaux formation )
赤血球が積み上げたコインを倒したように並ぶ現象。ガンマグロブ
リンの増加により赤血球表面の電荷が減弱し、互いの反発力が低下
したときに起こります。多発性骨髄種や原発性マクログロブリン血
症などの高グロブリン血症などで認められます。
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