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痛風発作や痛風関節炎などの臨床症状はなく、健診で血清尿酸値7mg/dl以上を指摘され、医療機関を受診を勧められることがあります。こうした無症候性高尿酸血症を積極的に治療すべきか、それとも経過観察で様子を見るべきか、治療方針に悩む医師は少なくないようです。
血清尿酸値が7mg/dl以上、特に9mg/dlを超えると、痛風関節炎の発症頻度が高まることが知られています。さらに近年、血清尿酸値と生活習慣病、中でも心・腎疾患との関連が報告されるようになり、その予防のためにも積極的に尿酸をコントロールすべきとの議論もあります。高尿酸血症が尿酸結晶の沈着を介さずに高血圧や腎障害の発症・進展と密接に関係することや、高尿酸血症が慢性糸球体腎炎の腎機能予後不良因子であることなどが明らかになってきたためです。
心血管イベントの発症についても、尿酸高値が独立した危険因子となるとの報告がありますが、これについては否定する報告もあり、意見の一致が見られません。
2010年1月に改訂された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、血清尿酸値が高ければ、将来、高血圧などの生活習慣病になりやすいとの考え方に基づき、血清尿酸値を「生活習慣病のマーカー」として新たに位置付けられました。腎機能が正常で血清尿酸値が8〜9mg/dlであれば、年1回健診を受けるよう勧め、経過観察をします。
尿酸高値による有害性ばかりが強調されがちですが、実は尿酸は、ビタミンCを上回る強い抗酸化作用を持ち、酸化ストレスから組織を守る有益な作用もあります。例えば、神経系の保護に尿酸が寄与している可能性があり、多発性硬化症やパーキンソン病、アルツハイマー病などでは一般に尿酸値が低いことが知られています。また、尿酸による発癌抑制作用も報告されています。
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