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リポ蛋白(a)〔Lp(a)〕はリポ蛋白の亜型であり、低比重リポ蛋白(LDL)の一部を構成しているアポ蛋白B-100に、アポ蛋白(a)がS-S結合したもので、分子の大きさはLDLとVLDLの中間です。Lp(a)はLDLと同様にコレステロールを多く含むリポ蛋白であり、動脈壁へのコレステロールの沈着に直接関与しています。また、血栓溶解因子であるプラスミノーゲンと構造的に近似しているため、プラスミノーゲンが血小板などの凝固因子に結合する際に競合的阻害を起こし、血液凝固を引き起こすことなどが考えられています。
動脈硬化形成のRossの仮説とは、血管内皮細胞が傷害されると、血小板が凝集して組織を修復します。血小板が分泌する成長因子(PDGF)が血管平滑筋細胞に働き、細胞は中膜から内膜へ遊走して脂肪を貪食し、泡沫細胞となり粥状動脈硬化巣(アテローム)の形成に発展します。炎症反応として血管透過性の亢進が起き、単球は内皮細胞下に浸潤してマクロファージ化します。変性LDLを取り込んで泡沫細胞化してアテロームを形成し、血管内膜は肥厚するというものです。
一方で内皮細胞や血小板からは、潜在性トランスフォーミング・グロスファクターβ(LTGF-β)が放出されます。プラスミンにより活性化されてaTRGFβとなって平滑筋細胞の増殖を抑制する作用があります。
Lp(a)には種々の表現型(アイソフォーム)があり、その差は、クリングルと呼ばれる環状分子構造の個数の違いが原因で、分子量にして100〜800kDaの差があります。大分子であるほど、血中Lp(a)濃度は低いため、cut-off値は表現型別に設定したほうがよいという意見もあります。実際、日本人の血清Lp(a)濃度分布は正規分布を示さず、基準範囲は統計よりも臨床的データを加味して決められています。
Lp(a)は、冠動脈硬化の独立した危険因子であることや虚血性心疾患の危険因子であることが報告されています。
血清Lp(a)濃度は年齢・食事・運動に影響されず遺伝により90〜95%決定されます。また、個人差が極めて大きく、年齢・性別による差はこれより小さいとされています。
検査材料:血清
測定方法:TIA
基準値:単位(mg/dl)30.0以下
・高値を示す病態
冠動脈疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化、糖尿病、腎疾患(慢性腎炎、ネフローゼ)
高値の場合、これら動脈硬化性疾患に罹患しやすいとされる。
・低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ない
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