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アルコール性 脂肪肝 は、アルコール の過飲により生じる最初の肝臓の病態であり、大量飲酒者では90%以上の症例に認められます。日本酒換算で3合(60gのエタノール)程度を1週間続ければ生じ、2〜4週間の断酒で消失する可逆的変化です。
脂肪肝 は、肝臓内に中性脂肪を中心として脂肪が湿重量として5%以上になった状態であり、病理組織上は肝小葉の1/3以上にわたり脂肪の蓄積がみられます。脂肪肝患者の多くは無症状であり、肝機能検査でも基準値以内であったり、γ-GT、AST(GOT)、ALT(GPT)などは軽度の異常となります。アルコール性肝障害の基準を満たし、画像診断(超音波検査、CT)で肝臓への脂肪沈着の所見があれば脂肪肝と診断されます。
アルコール性脂肪肝の患者がさらに大量の飲酒を継続し、朝から晩まで何日間も飲み続けるという連続大量飲酒を繰り返すと、アルコール性 肝炎 を発症します。病態が進行すると、発熱、腹痛、倦怠感、食欲不振、体重減少も現れ、栄養不良もみられます。
重症型アルコール性肝炎(severe alcoholic hepatitis:SAH)は、アルコール性肝炎のなかでも特に重症化し、肝臓だけでなく全身の臓器障害を伴い、肝性脳症、肺炎、急性腎不全、消化器出血などの合併症やエンドトキシン血症をきたしたものを指します。プロトロンビン時間の延長(50%以下)を伴います。入院のうえ断酒しても肝腫大が改善せず進行性に増悪し、その多くが1カ月以内に死に至ります。
最近のわが国の調査で、SAHの増加が明らかにされ、特に女性例での増加が著しいとの報告があります。死亡に至る予後不良の因子として、プロトロンビン時間の延長、貧血、白血球増多の著しい例やクレアチニン上昇例、感染症、消化管出血合併があげられます。
また、肝炎が重症化せずにさらに長期間にわたり大量飲酒を続けると、肝の線維化が進み、アルコール性線維症からアルコール性 肝硬変 に至ります。男性でエタノールを100g(日本酒換算で5合)程度以上を約20年以上続けている人に、女性ではその2/3に酒量約12年程度で見られます。30歳代に肝硬変例がみられる症例の多くは女性です。
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