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アルコール関連マーカーには、1)飲酒量が反映されるマーカー、2)アルコールによる臓器障害の程度を示すマーカー、3)個人のアルコールに対する感受性を規定する遺伝的素因(主としてアルコール代謝関連酵素の遺伝的多型)があります。
通常、健診や医療施設で検査可能な代表的検査項目としては次のものがあります。
1)γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)
以前はγ-GTP(γーグルタミルトランスぺプチターゼ)と呼ばれていましたが現在ではγ-GTが一般的です。γ-GTはグルタチオンなどからγーグルタミル基を転移する働きがあり、ヒトでは肝臓だけでなく、腎臓・膵臓・小腸などにも存在します。
アルコール性肝障害におけるγ-GTの上昇はトランスアミナーゼ上昇に先立ってみられるもので、早期診断に有用ですが、その数値は肝障害の程度や進行度と必ずしも相関しないことに注意が必要です。過度の飲酒により上昇した血清γ-GTの半減期は10〜14日であり、アルコール性肝障害の診断基準にも、上昇していたγ-GTが断酒後4週間で前値の40%以下になる事と記載されています。
γ-GTを上昇させる要因は肥満や抗けいれん薬の連用、胆汁うっ帯などがあり、中年の女性で原因不明のγ-GTの上昇が見られた場合は、原発性胆汁性肝硬変を疑って、抗ミトコンドリア抗体・抗M2抗体などをチェックする必要があります。
血清γ-GTの軽度上昇は、アルコール消費量と独立に将来の脳血管障害・虚血性心疾患・メタボリックシンドローム・2型糖尿病の発症リスクが高いことも示されています。
2)平均赤血球容積(MCV)
MCVが過度の飲酒により増加することはよく知られています。一度増加したMCVが完全断酒に伴って正常化するのに要する期間はγ-GTに比べて長く2〜4ヶ月です。習慣飲酒によりMCVが増大する機序として、エタノールの直接作用による赤血球膜の脂質組成の変化などが考えられていますが、アセトアルデヒドの作用も重要です。
3)糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)
糖鎖欠損トランスフェリン(Carbohydrate deficient transferrin:CDT)は、欧米ではすでに実際の診断で使用されているが、わが国では保険収載されていないマーカーです。習慣飲酒により引き起こされる糖タンパクの糖鎖形成不全はトランスフェリンなどにみられます。糖鎖末端に存在するシアル酸含有量が正常よりも少なくなります。CDT値は飲酒量、頻度が高いほどCDT値に異常が見られる率が高まります。
4)その他
IgA・HDLコレステロールなどが習慣飲酒により上昇することが知られています。アルコール性肝障害におけるトランスアミナーゼの上昇ではAST(GOT)>ALT(GPT)となることが特徴的です。
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