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急性アルコール中毒は、1979年のアルコール中毒診断会議により出された診断基準によれば「アルコール飲料の摂取により生体が精神的、身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものであり、通常は酩酊と称されるものである」とされています。
アルコールはエチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコールなどの総称で一般にアルコールといえばエチルアルコール(エタノール)を指してします。
アルコールは脳を麻痺させ、酔った状態を作り出します。この酔いの程度は、脳内のエタノール濃度によって決まり、平衡関係にある血中エタノール濃度が酩酊度の有力な指標として使われています。
一般に血中エタノール濃度が1.6mg/dl(酩酊極期)以上が急性アルコール中毒と呼ばれており、この濃度以上では、歩行困難や嘔吐など不快な身体症状がみられ、転倒による事故や吐物誤嚥などを引き起こし、直接的あるいは間接的に生命をも脅かすからです。ただし血中エタノール濃度と臨床症状の相関は、アルコールの長期連用による耐性の獲得、脳の感受性、年齢、飲酒習慣などにより影響を受け、次に示すように明確なものではないことがあります。
酩酊度によるエタノール血中濃度と臨床症状(飲酒目安は清酒換算)
1)無症状期
血中濃度:0.3〜0.4mg/dl
飲酒目安:1合
臨床症状:微細変化の発現(フリッカー、筋電図、角膜刺激反応)
2)微粋(弱度酩酊)
血中濃度:0.5〜1.0mg/dl
飲酒目安:2合
臨床症状:粗大変化の発現(平衡機能障害、呼気アルコール臭、反応時間遅延)
3)第1度酩酊(軽度酩酊)
血中濃度:1.1〜1.5mg/dl
飲酒目安:3合
臨床症状:抑制の低下、情緒不安定、注意散漫、運転能力の低下
4)第2度酩酊(酩酊極期)
血中濃度:1.6〜2.4mg/dl
飲酒目安:5合
臨床症状:明らかな酒酔い、平衡感覚麻痺(千鳥足)、感覚麻痺、錯視、言語不明瞭
5)第3度酩酊(深酔・麻酔期)
血中濃度:2.5〜3.4mg/dl
飲酒目安:5〜9合
臨床症状:運動失調、歩行困難、感覚麻痺、言語障害、意識混濁
6)第4度酩酊(泥酔・昏睡期)
血中濃度:3.5〜4.4mg/dl
飲酒目安:5〜9合
臨床症状:意識消失、体温低下、反射消失、呼吸抑制、失禁、死の危険
7)死亡
血中濃度:4.5以上mg/dl
飲酒目安:1ℓ以上
臨床症状:呼吸麻痺
呼気中のエタノール濃度は、血中エタノール濃度と比例関係にあるので、呼気のエタノール測定は飲酒運転の取り締まりに用いられます。酒気帯び運転の基準は、呼気中アルコール濃度が0.15mg/ℓで、これは血中エタノール濃度の約0.3mg/dlに相当します。
アルコールが体内で代謝される時間は、飲酒量に比例します。エタノールの代謝機能に個人差がありますが、体重60kgの人では、1単位(ビール大ビン1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯、焼酎0.6合)のアルコールが体内から消えるまでに約3時間かかります(2単位では約6時間、3単位では約9時間、4単位では約12時間)
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