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本態性高血圧症患者の血中AM濃度は正常血圧者と比較して高値であることが示されており、さらに臓器障害が進展するにしたがって血中AM濃度が増加していることが明らかになっています。また、二次性高血圧のなかでは腎血管性高血圧や原発性アルドステロン症では高値であることが示されています。しかしながら、褐色細胞腫患者の血中AM濃度が高値であるという結果はかならずしも得られていません。
うっ血性心不全患者の血中AM濃度が健常人と比較して上昇しており、ニューヨーク心臓協会(New York Heate Association:NYHA)の旧心機能分類の重症度が増すにしたがって血中AM濃度が上昇しています。また、うっ血性心不全患者の血中AMは、ナトリウム利尿ペプチド(ANP:心臓性ナトリウム利尿ペプチド、BNP:脳性ナトリウム利尿ペプチド)、血漿レニン活性、肺動脈圧と正の相関関係を有することが観察されています。また、心不全での入院時に高値を示した血中AMは治療で心不全が軽快するのと並行して減少します。
慢性腎不全患者においても、血中AM濃度が高値であり、腎機能の低下に伴って血中AMが上昇することが明らかになっています。多くのペプチドホルモンは腎臓で代謝を受けることから、腎不全患者の血中AMの上昇はクリアランスの低下によるものである可能性は否定できません。しかし、腎動脈と腎静脈間の血中AM濃度には差がなく、かつ血圧の上昇や体液量の増加に反応し血中AM濃度が上昇する可能性も示されており、慢性腎不全患者においても様々な因子が血中AM濃度の上昇に関与していると考えられます。
血中AMが著明に増加する病態として敗血症ショックが注目されています。敗血症は細菌やウイルスなどの感染による全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)であると把握されています。その病態形成には、ホルモン、カテコールアミンやサイトカインなどの種々のケミカルメディエーター関与しており、特にサイトカインは中心的な役割を果たしていると考えられています。敗血症性ショック患者の血中AM濃度は健常人の値に比べて著明に増加し、35倍程度に達します。なかには100倍以上になる症例もあります。一方、同様に血圧低下を示す出血性ショック、心原性ショックなどでも血中AMは上昇しますが、健常人の4〜5倍程度であり、AMが敗血症性ショックの病態生理に他のショック群より深くかかわっていることが示唆されます。
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