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ソマトスタチン(somatostatin:SRIF)は、脳の視床下部のみならず、膵臓、消化管などにも広く分布しており、消化管に65%、脳に25%、膵臓5%、その他5%の割合で存在します。
・ソマトスタチンの主な臓器別生理作用
1)下垂体:成長ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンの分泌抑制
2)膵臓(内分泌):インスリンおよびグルカゴン、膵ポリペプチドの分泌抑制
3)膵臓(外分泌):炭酸水素イオンおよび酵素分泌の抑制
4)消化管(腸管ホルモン分泌):ガストリン・セクレチン・コレシストキニン・VIP・消化管ホルモン・モチリン・エンテログルカゴン・ニューロテンシンの分泌抑制
5)消化管(外分泌):胃酸・ペプシン・内因子・結腸分泌液および胆汁の分泌抑制
6)消化管(運動):胃内容排出・胆嚢収縮および小腸分節運動の抑制
7)消化管(吸収):各栄養素および水分吸収速度の減少
8)消化管(血流):腸間膜血流の減少と血管抵抗の増加
9)消化管(栄養機能):粘膜細胞の増殖低下
10)甲状腺:T4およびT3の放出抑制、カルシトニン分泌抑制
11)副腎:アルドステロン分泌抑制、髄質カテコラミン分泌抑制
12)腎臓:レニン放出阻害、抗利尿ホルモンを介した水分吸収の抑制
・ソマトスタチンの血中濃度
採血には蛋白質分解阻止剤を入れた氷冷採血管を用い、4℃以下で速やかに血漿分離後、凍結保存します。血漿からソマトスタチンの抽出を行い、放射免疫測定法(RIA)を用いて測定します。血漿からの抽出・濃縮は酸・アセトン法、Vycorglass法やアフィニティクロマトグラフィ法などが用いられます。
基準値:単位(pg/ml)5〜27
高値を示す疾患:膵内分泌腫瘍、甲状腺髄様癌、傍神経節腫、褐色細胞腫、カルチノイド、肺小細胞癌など
・ソマトスタチン産生腫瘍
1)ソマトスタチノーマ症候群
1979年Krejsらによりまとめられた疾患概念で、ソマトスタチン過剰分泌により多彩な病態を呈します。主な臨床症状としてインスリン分泌抑制による耐糖能低下・糖尿病・膵外分泌抑制による慢性下痢や脂肪性下痢・胆嚢運動抑制による胆石症や胆嚢腫大・胃液分泌抑制による低酸症・吸収抑制による体重減少などがあります。
ソマトスタチノーマは、消化管由来の神経内分泌腫瘍であり、膵臓由来と十二指腸由来に大別されますが、膵臓由来のほうがソマトスタチノーマ症候群を呈しやすいとの報告がありますが、最近では典型的な症状を呈する報告はありません。
2)ナルセル腺腫(null cell adenoma)
2004年に内分泌腫瘍の新WHO分類が改訂出版され、下垂体腺腫はKovacsらの電顕所見を主体にした分類を基盤にして光顕レベルでも診断できるように改訂されました。従来、ナルセル腺腫は電顕所見で規定された腺腫で細胞内小器官の発達が悪く分化の方向性がはっきりしない腺腫とされていましたが、それらの多くがゴナドトロピン産生を示し、ゴナドトロピン産生腺腫に分類されることになり、WHO分類ではナルセル腺腫は下垂体ホルモンあるいは転写因子がすべて陰性の線種と定義されました。その頻度は下垂体腺腫の5〜10%を占めると考えられています。
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