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アクアポリンは1992年に発見された水チャネルであり、その多彩なファミリーメンバーは生物界に広く存在します。哺乳類では13種類存在しており、その中のアクアポリン2(aquaporin2:AQP2)は腎臓に存在し尿の濃縮に必須の役割を果たしています。AQP2遺伝子の機能喪失性変異により遺伝性の尿崩症(尿濃縮が障害され著しい多尿を呈する)になることが示されています。抗利尿ホルモンのバソプレシンは腎臓集合管細胞に働き、細胞内に貯蔵されているAQP2が細胞膜表面に移動し、集合管の水透過性の上昇がもたらされ尿は濃縮されます。バソプレシン刺激がなくなるとAQP2は細胞内に取り込まれ貯蔵状態に戻り、次の出動に備えます。このリサイクルするAQP2は最終的には細胞内で代謝分解されますが、その一部は尿中にエクソーム(exosome)の形で排泄されます。この排泄がバソプレシンにリンクして、その作用の指標となることが示されています。
尿中アクアポリン2が増加する病態
・バソプレシン投与
・脱水
・心不全
・肝硬変
・妊娠
・SIADH
・下垂体機能低下症
・NSIAD
・糖尿病性腎症
・フロセミド投与
尿中アクアポリン2が低下する病態
・水負荷
・腎性尿崩症
・中枢性尿崩症
・多飲症
・夜尿症
・リチウム投与
尿中AQP2は集合管のバソプレシンへの反応性の指標として有用であると考えられます。また尿中AQP2の排泄は日内変動が少なくサンプル採取時に時間帯を考慮する必要がないことも示されています。
※SIADH:抗利尿ホルモン分泌異常症(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)
NSIAD:(Nephrogenic syndrome of inappropriate antidiuresis:NSIAD)遺伝性の低Na血症きたす疾患
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