尿中アクアポリン2 - ホルモン

代表的なホルモンについて、種類と産生臓器・標的臓器、その作用について紹介しています。

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尿中アクアポリン2

アクアポリンは1992年に発見された水チャネルであり、その多彩なファミリーメンバーは生物界に広く存在します。哺乳類では13種類存在しており、その中のアクアポリン2(aquaporin2:AQP2)は腎臓に存在し尿の濃縮に必須の役割を果たしています。AQP2遺伝子の機能喪失性変異により遺伝性の尿崩症(尿濃縮が障害され著しい多尿を呈する)になることが示されています。抗利尿ホルモンのバソプレシンは腎臓集合管細胞に働き、細胞内に貯蔵されているAQP2が細胞膜表面に移動し、集合管の水透過性の上昇がもたらされ尿は濃縮されます。バソプレシン刺激がなくなるとAQP2は細胞内に取り込まれ貯蔵状態に戻り、次の出動に備えます。このリサイクルするAQP2は最終的には細胞内で代謝分解されますが、その一部は尿中にエクソーム(exosome)の形で排泄されます。この排泄がバソプレシンにリンクして、その作用の指標となることが示されています。

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グレリン 摂食調整作用をもつGH分泌ホルモン

グレリン(ghrelin)は、1999年にG蛋白質共役型のオーファン受容体GHS(growth hormone secretagogue:成長ホルモン分泌促進因子)受容体内因性リガンドとして、ヒトおよびラットの胃組織から同定されたGH分泌ホルモンです。グレリンにはGH分泌促進作用のみならず、摂食調節やエネルギー代謝調節機能、循環器系に対する作用も認められ、エネルギー代謝調節に関連する疾患や病態生理とのかかわりも明らかになりつつあります。
ヒトのグレリンは28残基のアミノ酸からなり、第3位のセリン残基の側鎖に脂肪酸のn-オクタン酸(C8:0)がエステル結合しています。このような脂肪酸修飾を受けた生理活性ペプチドはこれまで知られておらず、脂肪酸による修飾はグレリンの生物活性発現に必須です。

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オレキシン 胃酸分泌 食欲増加させる神経ペプチドホルモン

オレキシン は神経ペプチドで、アミノ酸33個からなるオレキシンAとアミノ酸28個よりなるオレキシンBが存在します。その特異的受容体は2種類でオレキシンAに特異性が高いオレキシン1(OX1)受容体と、オレキシンAとオレキシンBに同程度の親和性をもつオレキシン2(OX2)があります。オレキシンは脳にのみ発現し、しかも脳内でも外側視床下部の神経細胞でのみ産生される特徴があります。この外側視床下部は摂食中枢であることから、食欲誘導分子である可能性が提唱されました。外側視床下部は摂食のみならず、自律神経系の上位中枢としても知られているため、脳内の内因性オレキシンAが胃酸分泌調節に関与することも明らかになりました。

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ホルモン のアイテム
アドレノメデュリン 臨床的意義
本態性高血圧症患者の血中AM濃度は正常血圧者と比較して高値であることが示されており、さらに臓器障害が進展するにしたがって血中AM濃度が増加していることが明らかになっています。
アドレノメデュリン 血管拡張性ペプチド
AMは副腎髄質や心血管組織を含む幅広い臓器や組織において生合成・分泌されており、降圧作用以外にも利尿作用、アルドステ ロン分泌抑制作用、血管新生作用、抗炎症・臓器保護作用など多彩な生物活性を発揮することが示されています。
消化関連ホルモン モチリン
モチリンの主な作用は、消化管の収縮運動を引き起こすことです。モチリンの血中濃度は空腹時において周期的に変動し、約100分間ごとにピークを示します。
消化管関連ホルモン セクレチン
セクレチンの作用は膵・胆およびBrunner腺からの重炭酸イオン分泌を亢進させて十二指腸をアルカリ化し、同時に胃にも作用し、ソマトスタチンを介して酸分泌を抑制します。
消化管関連ホルモン コレシストキニン
コレシストキニン(cholecystokinin:CCK)は小腸の上部約2/3に分布するI細胞から分泌されるペプチドホルモンで、食物が酸とともに十二指腸に移行してきた際に、トリグリセライド・脂肪酸・アミノ酸やペプチドが刺激となって分泌されます。
メラトニン
メラトニンは主に松果体で産生されるホルモンで、その産生量は体内時計にコントロールされて日内変動を呈し、夜間に高く、日中は低いという概日リズムを示します。
男性ホルモン 草食男子は少ない?肉食女子は多い?
男性ホルモンといえばテストステロンですが、草食系男子では実際に男性ホルモンが低いのでしょうか?またその対義語として使われる肉食系女子では男性ホルモンは多いのでしょうか?
血中・尿中 ヘプシジン 値が変動する病態
ヘプシジンは、主に肝臓で産生されるペプチドホルモンで、さまざまな刺激因子によって複雑に制御されています。
エストロゲン estrogen 性ホルモン
臨床的意義は非妊婦と妊婦で異なります。非妊婦においては卵巣機能の推定や肝臓や副腎の異常で上昇し、これらの臨床診断指標として有用です。
アロマターゼ
アロマターゼは、エストロゲンを生成する過程で鍵となる酵素です。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン HCG 血清
胎盤絨毛細胞から分泌される性腺刺激ホルモンで妊娠の診断や絨毛性疾患の管理などに用いられる。
ヒト胎盤性ラクトゲン HPL
胎盤で産生される胎児の育成に関与する蛋白ホルモン。妊娠管理の重要な指標となり、IUGRや胞状奇胎で低値。
AMH 抗ミュラー管ホルモン 卵巣予備機能マーカー
近年卵巣の加齢を評価するマーカーとしてAMHが注目されています。女性の生殖年齢を通して加齢に伴いAMHは低下し、AFCと正の相関を示します。
17-ケトジェニックステロイド 総17-KGS
副腎皮質機能判定の指標として用いられる検査。コルチゾールの分泌状態を反映し、日内変動が大きいため蓄尿して定量する。
ソマトスタチンとソマトスタチン産生腫瘍
脳の視床下部のみならず、膵臓、消化管などにも広く分布しており、消化管に65%、脳に25%、膵臓5%、その他5%の割合で存在します。
VIP WDHA症候群で上昇する活性ペプチド
VIPは、水様性下痢を来すWDHA症候群(VIPoma)で上昇するペプチドホルモンです。
カルシトニン CT 甲状腺髄様癌で高値
甲状腺から分泌されるペプチドで、血中カルシウム濃度を低下させる作用がある。甲状腺髄様癌にて高値。
偏頭痛で増加、尿中5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)
セロトニンの代謝物を測る中枢神経ホルモン検査。偏頭痛やカルチノイド症候群の診断に用いられる。
ガストリン 胃壁細胞に作用して胃酸分泌を促すホルモン
胃壁細胞に作用して胃酸分泌を促すホルモン。ガストリノーマの診断に用いられる。
高感度PTH(HS-PTH)
血中カルシウム濃度を上昇させるホルモン。副甲状腺疾患や骨疾患の鑑別に用いられる。
セロトニン
消化管の機能調節や血小板凝集促進作用を持つインドールアミン。カルチノイド症候群の診断に用いられる。
男性ホルモン:テストステロン
代表的な男性ホルモン。主に男性性腺機能検査として用いられる。男性ホルモン活性と精巣機能のマーカーとしては最もすぐれている。
アルドステロン
代表的な鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)。レニン-アンジオテンシン系により調節されているため、レニンの同時測定が病態把握に有用。
コルチゾール(cortisol)
ACTHにより調節され、主に副腎皮質束状層から分泌される糖質コルチコイド。過剰でクッシング症候群、不足でアジソン病を起こす。
デハイドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)
男性ホルモンの中間代謝産物。DHEAの硫化物で、より血中半減期が長い。Cushing症候群の病型判定や男性化徴候の指標。
オキシトシン(oxytocin:OT)
下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモン。射乳作用や子宮収縮作用がある。
バソプレシンAVP・抗利尿ホルモンADH
バソプレシン(Arginine vasopressin:AVP)は抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone:ADH)ともいわれ、視床下部で合成され下垂体後葉に蓄えられる下垂体後葉ホルモンです。
副腎皮質刺激ホルモン:ACTH
視床下部の刺激で分泌され、副腎皮質のステロイド合成を促す下垂体前葉ホルモン。朝高く、夜低いという明瞭な日内変動がみられる。
カテコールアミン(CA)3分画
昇圧作用を持つホルモン。褐色細胞腫で高値。ストレスの影響や日内変動が大きいため尿中濃度測定も有用。
プロラクチン(PRL)
下垂体前葉から分泌され乳腺に作用する乳汁分泌ホルモン。性腺機能低下症や乳汁漏出無月経症候群の診断に用いられる。
成長ホルモン(GH)
成長促進、蛋白同化、脂肪分解などを行う下垂体前葉ホルモン。分泌過剰で巨人症や末端肥大症、不足で小人症を発来。
ホルモンの定義と種類・産生臓器・標的臓器
代表的なホルモンには次のようなものがあります。産生臓器別に、ホルモン名:種類:主な標的臓器の順に示しています。

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