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ペプシノゲン(pepsinogen)は、胃粘膜に分泌される蛋白分解酵素で、消化性潰瘍の成因に関与する攻撃因子ペプシンの不活性前駆体です。ペプシノゲンT(PGT)は胃底腺領域に存在し、ペプシノゲンU(PGU)は胃底腺、噴門腺、幽門腺、十二指腸腺に存在します。これらを同時測定することにより消化性潰瘍や胃癌のスクリーニング、萎縮性胃炎の診断や胃液分泌状態の把握などに応用することができきます。
胃癌の先行病変として慢性萎縮性胃炎が知られており、萎縮性変化が強い人ほど高率に胃癌が発見されています。現時点では胃癌に特異的な血中腫瘍マーカーはほとんど存在しないため、胃癌のスクリーニングとしてPGの用途が注目されています。X線による胃透視検査に匹敵、あるいはそれ以上の感度を有するとの報告もあります。
PGTは胃粘膜の酸分泌能とよく相関するといわれ、消化性潰瘍症例では高値が認められることが多い。
PGT濃度と、PGT/PGU比が慢性胃炎の診断に用いられます。すなわち胃粘膜における萎縮性変化が広範囲に及んでくると主細胞や壁細胞が減少し、その分泌能が低下するためにPGT値も低下し、それに伴いPGT/PGU比も低下します。
また前庭部や十二指腸部に局在するガストリンの分布はPGUの分布と近いために、ガストリンとPGUは有意の相関を示すといわれています。
※慢性腎不全では排泄障害により高値を認めることが報告されています。
検査材料:血清
測定法法:CLIA
基準値:PGT(ng/ml)
ペプシノゲン(PG)による胃粘膜萎縮度の判定基準
陰 性(−) PGT70.1 以上 または T/U比 3.1以上(*1)
疑陽性(±) PGT40.0 以下 または T/U比 2.5以下(*2)
陽 性(+) PGT70.0 以下 かつ T/U比 3.0以下 (*3)
強陽性(2+) PGT30.0 以下 かつ T/U比 2.0以下
*1: 疑陽性(±)領域を除く
*2: 強陽性(2+)および陽性(+)領域を除く
*3: 強陽性(2+)領域を除く
高値を示す病態:消化性潰瘍(特にPGT高値)、慢性腎不全
低値を示す病態:萎縮性胃疾患(PGT、PGT/PGUとも低値)、胃癌
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