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HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2:ヒト上皮成長因子受容体2)は、癌遺伝子のひとつで、胃癌初のバイオマーカーとして個別化医療の進展に期待されています。トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)は、HER2タンパクを標的として癌細胞の増殖を阻害する分子標的薬で、これまで乳がんの治療効果を向上してきましたが、HER2過剰発現が確認された治療切除不能な進行・再発の胃癌にも適用が認められました。胃癌においても、ハーセプチン治療開始前にHER2の過剰発現を確認することが必要ですが、腫瘍内のHER2発現の不均一が高いなどの特徴を考慮し、胃癌に適した検査の進め方が重要とされています。
・胃癌HER2タンパク(IHC法)
免疫組織化学法(IHC)は、癌細胞の細胞膜に局在するHER2タンパクを免疫染色する検査です。腫瘍組織や腫瘍内のHER2タンパクの過剰発現の全体像を把握しやすい為、初回検査として実施することが推奨されています。
<判定基準> スコアと染色パターン
0:被検体組織中の腫瘍細胞のなかでHER2陽性細胞がない、あるいは10%に満たないもの
1+:被検体組織中の腫瘍細胞のなかでHER2陽性細胞が10%以上あるが、腫瘍細胞の一部の膜に限局した弱い染色強度を有するもの(4倍の対物レンズ下で細胞膜の染色性が確認できない)
2+:被検体組織中の腫瘍細胞のなかでHER2陽性細胞が10%以上あり、腫瘍細胞の膜に限局した中程度の染色強度を有するもの(4倍の対物レンズ下で細胞膜の染色が確認できる)
3+:被検体組織中の腫瘍細胞のなかでHER2陽性細胞が10%以上あり、腫瘍細胞の膜に限局した強度の染色性を示すもの
※腫瘍細胞の細胞膜における染色性および染色強度が判定対象であり、細胞質に限局する陽性染色は非特異反応とみなす。
・胃癌HER2遺伝子(FISH法)
FISH法は、蛍光標識されたHER2-DNAプローブを用いて、HER2遺伝子のコピー数を検出する検査です。HER2シグナルとCEP17(17番染色体セントロメア)シグナルの比により遺伝子増幅の有無を判定します。
<判定基準>
1)20〜60個の癌細胞でのHER2(オレンジ蛍光シグナル)CEP17(グリーン蛍光シグナル)各々の蛍光シグナル数を蛍光顕微鏡で計数し、観察細胞数のCEP17シグナル総数に対するHER2シグナル総数の比率を算出します。
2)HER2/CEP17比が2.0以上を増幅陽性(FISH法陽性)2.0未満を増幅陰性(FISH法陰性)とします。
<HER2検査のフローチャート>
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