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トランスフェリン(Tf)は、主に肝臓で合成され鉄の貯蔵・運搬に関与する分子量80,000のβグロブリン分画に属する血漿蛋白(鉄結合性糖蛋白)です。トランスフェリンは、血清鉄・不飽和鉄結合能(UIBC)・フェリチンなどと併せて鉄欠乏性貧血の鑑別診断、治療のモニターとして利用されます。一方、尿トランスフェリンはアルブミン(Alb)とほぼ同様な排泄動態を示すことから、主に糸球体機能の評価に有用です。
トランスフェリンは、血清中では鉄と結合して生体内の種々の組織へ鉄を輸送する役割を持っています。1分子のTfはFe3+2原子と結合。正常ではTfの1分子の約3分の1が鉄と結合しているため、さらに血清鉄濃度の2倍量と結合しうる能力(不飽和鉄結合能)を保有しています。
トランスフェリンは貯蔵する鉄が減少するに従い増加します。妊娠時には貯蔵鉄の枯渇により、その値は単純な鉄欠乏性貧血以上に高値となります。逆に貯蔵鉄が増加した場合(ヘモクロマトーシスなど)、トランスフェリンは低下します。また各種の悪性疾患、炎症、造血能低下状態、肝硬変症などでは肝での産生低下のため減少し、ネフローゼ症候群や蛋白漏出性胃腸症では体外への喪失に伴い低下します。血清中での鉄はすべてトランスフェリンと結合しており、貯蔵にはヘモジデリンとフェリチンが関与しています。したがって鉄代謝の把握にはこれらの項目や不飽和鉄結合能の測定が行われます。
なお、アルコール依存症患者の血中には、糖鎖末端にシアル酸、ガラクトース、GlcNAcなどを欠いたトランスフェリンの比率が高く、糖鎖欠損トランスフェリンと呼ばれます。γ-GTPよりも長期間のアルコール多量摂取のマーカーとして注目されています。
検査材料:血清
測定方法:TIA
基準値:単位(mg/gl)190〜320
・高値を示す病態:鉄欠乏性貧血、真性多血症、急性肝炎(肝細胞からの逸脱による)、妊娠中期・後期
・低値を示す病態:肝硬変、ネフローゼ症候群(尿中への喪失による)、慢性骨髄性白血病、悪性腫瘍、無トランスフェリン血症
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