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血清カリウム(K)値が3.5mEq/L以下の場合を低カリウム血症と言います。低K血症では、静止電位が過分極となり、脱分極するのに通常より大きな刺激が必要となるため、脱力・筋力低下・呼吸筋麻痺・便秘・麻痺性イレウスが出現します。
低K血症の主な原因は3つあり、偽性低K血症・Kの細胞内シフト・K欠乏(摂取低下、Kの腎性・腎外性排泄の増加)に大別されます。
1)偽性低カリウム血症
白血球増加症(WBC:20万)で採血した検体を室温放置すると、Kが血清から白血球に取り込まれることがあります。
2)カリウム摂取不足
皮質集合管(cartical collecting dact:CCD)でのナトリウムの再吸収により1日5〜15mEq程度の尿中K喪失が起こり、数週〜数か月の飢餓や神経性食思不振症で低K血症が生じます。
3)カリウムの細胞内シフト
細胞内へのKシフトの主因子は、アルカローシス・β2アゴニスト・インスリンです。非糖尿病患者では、高カロリー輸液などの糖負荷の治療でも内因性インスリン分泌が刺激され、Kシフトが誘導されます。造血器腫瘍の増殖やビタミンB12、葉酸などの貧血治療も細胞内へのKの取り込みを促進します。
4)カリウム排泄の亢進
K排泄の評価では、尿中Kの1日排泄量が重要となります。Na排泄が50mEq/day異常でK分泌が正確に評価できます。尿Kが20mEq/day以下であれば、腎外性(消化管、皮膚)のK喪失、過去の利尿薬使用が考えられ、尿Kが20mEq/day以上なら腎性K喪失が疑われます。
・腎外性のカリウム喪失
下痢、嘔吐、チューブドレナージ、下剤濫用、イレウスによる腸液貯留などが原因で消化管性のK喪失が起こり、長期かつ高度の発汗は、K喪失につながります。
・腎性カリウム喪失
血圧とTTKGを測定し、TTKGが2〜4程度か正常〜低血圧の場合は、血液ガス分析でHCO3-を測定します。低値なら尿細管性アシドーシス、ケトアシドーシス、下痢を疑います。高値であれば、Bartter/Gitelman症候群、利尿薬使用、嘔吐などを考え、尿中Cl排泄量は前2者では高く、嘔吐では低いことで鑑別されます。TTKGが4以上であればレニン・アンギオテンシンII・アルドステロン(RAA)系が亢進状態と考えられます。RAA系の活性化や高血圧がある場合は、レニン活性、次に血漿アルドステロン濃度を測定します。レニン高値では、腎血管性高血圧、悪性高血圧、レニン産生腫瘍を考えます。レニン低値でアルドステロン高値では、原発性アルドステロン症を疑い、レニン低値かつアルドステロン低値では、クッシング症候群、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生腫瘍、甘草摂取など内因性の糖質コルチコイド(コルチゾール様の作用を呈する)・鉱質コルチコイド(アルドステロン様作用を呈する)が増加している病態あるいはどうコルチコイド自体の使用を疑います。
※TTKG(transtubular K gradient)=尿中K濃度/血漿K濃度÷尿中浸透圧/血漿浸透圧
(ただし尿中浸透圧/血漿浸透圧>1が条件)
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