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成人の生体内のナトリウム(Na)の含有量は体重1kg当たり、およそ55mEqでその約40%が骨に含まれています。また、細胞外液では、陽イオンの大部分がナトリウムイオンであり、細胞外液中の浸透圧活性物質からなっています。
これらの恒常性はナトリウムと水の代謝調節系により維持されている。血清中の浸透圧は、ナトリウム、カリウムと血中尿素窒素、血糖値からおおよそ次式により概算されます。
血清浸透圧=2(Na+K)+BUN/2.8+Glu/18
(ただし電解質の単位はmEq/L、GluとBUNはmg/dl)
血清ナトリウム濃度の日内変動の幅はきわめて小さく、個人の生理的変動幅もきわめて小さい。一方、尿中ナトリウムの排泄量は摂取量にほぼ並行して変動します。しかし腎外性ナトリウム喪失が増大すれば、排泄量が摂取量を大幅に下回ることで代償されます。
検査材料:血清
測定方法:電極法
基準値:単位(mEq/l)137〜147
・低ナトリウム血症がみられた場合
腎臓は通常1〜1.5L/hまでの水分摂取に対して、ADHの分泌抑制により体液浸透圧の低下を防ぐことができます。血清浸透圧の低下を伴う真性低ナトリウム血症の場合は、次の3型に分類されます。
1)細胞外液量の減少を伴う低ナトリウム血症
ナトリウムの摂取不足かナトリウムの喪失が水の喪失を上回る場合(高度の発汗、腹水など)
2)細胞外液量の増加を伴う低ナトリウム血症
体内ナトリウム量の増加を上回る水の貯留によるもので浮腫を伴う。
3)細胞外液量の変化しない低ナトリウム血症
体内ナトリウムの増減はなく水の貯留によっておこり浮腫を認めないもの。
・高Na血症がみられた場合
高ナトリウム血症はナトリウム過剰摂取、もしくは水の欠乏によっておこるほか、視床下部の器質的な病変により浸透圧調節系が障害される本態性高ナトリウム血症も存在します。
高値を示す病態
下痢、嘔吐、発汗、本態性高Na血症、中枢性・腎性尿崩症、糖質・鉱質コルチコイド過剰、高張食塩水負荷時 など
低値を示す病態
Addison病、Na喪失性腎症、ADH分泌異常症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症、代償性低Na血症(高度の高血糖、高BUN血症など)、偽性低Na血症(高脂血症、高蛋白血症など)
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