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ペリオスチンは、マトリセルラー蛋白質と呼ばれる細胞外マトリックス蛋白質の一種であり、結合組織の構成成分としての機能と、受容体に結合し細胞にシグナルを入れる機能とを併せもっています。IL-4/IL-13やTGF-βなどのサイトカイン刺激で発現が誘導され、TH2または線維化を示すバイオマーカーです。
気管支喘息の病態において、ペリオスチンはIL-4/IL-13依存性に誘導され、肥厚した基底膜の構成成分となります。吸入ステロイド(ICS)治療中の気管支喘息患者を対象としたKiHACスタディでは、末梢血好中球数と好酸球数により患者を4つのクラスターに層別化すると、高齢発症で好酸球優位および呼吸機能予後不良であるクラスター3において、血清ペリオスチン濃度の低い群では1秒率(FEV1)の低下はごく軽度であったのに対し、血清ペリオスチン濃度の高い群ではFEV1が大きく低下していました。すなわち、クラスター3に含まれる患者の中で血清ペリオスチン濃度が高い者は、ICS低感受性であることが明らかとなりました。これは血清ペリオスチンがICS低感受性および呼吸機能予後を予測できるバイオマーカーとなりうることを意味しています。
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は肺間質に原因不明の線維化が生じ、肺が荒廃して数年で死に至る予後不良の疾患です。既存のKL-6やSP-Dなどの血清バイオマーカーは、病型による特異性や予後との相関が必ずしも高いとはいえません。IPF患者の肺組織におけるペリオスチン濃度を解析した結果、IPF患者肺の線維化巣や線維芽細胞にペリオスチンが強く発現していることが見出されました。IPF患者の血清ペリオスチン濃度は健常者に比べて優位に高値であり、血清ペリオスチン濃度が高いほど肺機能予後は悪く、肺機能予後を予測するバイオマーカーとしても優位性を示しています。
最近、新規IPF治療薬であるnintedanibが、年間の肺活量低下および急性憎悪の発生率を50%近く軽減することが示され、同時にpirfenidoneによる有意な肺活量低下の抑制と生存率の改善が報告されました。ペリオスチンはこれらの薬剤の投与判断基準、もしくは効果判定のコンパニオン診断薬としての可能性を秘めています。
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