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風邪の症状はないのに、咳がでる。空気の乾燥や朝晩の冷え込みで咳がでる。そんな咳の原因には、アレルギーの関与が疑われる咳喘息やアトピー咳嗽(がいそう)の他、合併すると鑑別の難しい慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがあります。その鑑別診断には次のようなポイントがあります。
1)咳の持続期間
咳嗽に関するガイドラインでは発症後3週間以内を急性、3〜8週間持続するものを遷延性、8週間以上持続するものを慢性と分類しています。
長引く咳で受診する患者の約半数が喘息や咳喘息で、残りの半数がCOPDや胃食道逆流症(GERO)、呼吸器感染症の後に咳が残っていると考えられています。
2)咳のタイミングと種類
乾いた咳が明け方や夜間に見られる場合は喘息を疑い、遷延性の咳と労作時の呼吸困難が主体であればCOPDが考えられます。
3)特異的IgE抗体の有無
成人発症性喘息においても、アトピー型が約半数を占めています。また咳喘息でも1種類以上の吸入アレルゲンに対して陽性を示す頻度は60%です。さらに咳喘息から喘息に進展した場合には、血中特異的IgE検査によりアトピー素因を確認し、原因となるアレルゲンの除去・回避することも重要です。
4)喫煙習慣の有無と呼吸機能
COPDの主体である肺気腫の多くは喫煙が原因です。現在、喫煙習慣がなくても過去に喫煙歴があればCOPDの可能性があります。症状のある時期とない時期がはっきりしている場合は、可逆性の気道閉塞の可能性が示唆され、喘息を第一に考えます。また、咳が長引くものの、喘鳴のない場合は、咳喘息やアトピー咳嗽以外にも副鼻腔炎やGERDなども考えられます。
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