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2)遺伝因子
IgA腎症 の発症に地域差、民族差がみられるのみならず、家族内発症もみられることから、何らかの遺伝因子が関与していると考えられます。親子・兄弟間で高率に発症している家族例の報告や、IgA腎症の多系家系例、IgA免疫の異常を高頻度に有している家系例が報告され、特定遺伝子が同定されています。また、孤発例においてもセレクチン遺伝子多型・MHC(major hisocompatibility somplex)II・polymeric immnoglbulin receptor・免疫グロブリンμ結合蛋白などの遺伝子と本症の関連が報告されています。近年粘膜免疫に深く関与するTLR(toll-like receptor)の遺伝子異常と組織学的重症度が強く関与することがわかり、IgA腎症の進展にかかわる遺伝子として注目されています。さらにIgA腎症患者の摘出扁桃のTLR9発現率が高いグループやTTgenotypeを有するグループでは、扁桃パルス療法の治療効果が高いことが知られており、扁桃におけるTLRの活性化がIgA腎症の進展に重要だあることが示唆されています。
3)IgA免疫系の異常
臨床的にIgA腎症により末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)に至り、腎移植を受けた患者の約半数で移植腎にIgA腎症が再燃すること、IgA腎症以外の疾患でESRDに至った患者にIgA腎症患者の腎臓を移植した場合に移植腎の沈着IgAは消失することが報告されています。これらはIgA腎症の病因の本体は腎固有細胞ではなく、むしろIgA免疫系にあることを示唆しています。また。IgA腎症の患者の血清・扁桃あるいは糸球体に沈着するIgAは多量体が多く、糸球体に沈着するIgAは主にIgA1であることがわかっています。
4)糖鎖異常IgA
ヒト血中IgAにはIgA1とIgA2の2種のサブクラスが存在しますが、IgA1とIgA2分子の最大の違いは、両者でヒンジ部位のアミノ酸組織が異なることで、IgA1のヒンジ部位にはO-結合型糖鎖が結合しています。IgA腎症患者の血中および腎糸球体に沈着するIgA1には、ヒンジ部に糖鎖異常をもつIgA1が増加していることが明らかになりました。具体的な産生部位は明らかではありませんが、全身特に骨髄で過剰産生されるといわれています。IgA腎症患者がリンパ性白血病に罹患し骨髄移植を受けた際に、白血病だけでなくIgA腎症も改善したという報告もあり、骨髄由来の腎炎惹起性IgAの存在が考えられます。一方で多量体IgAは、主に消化器系や呼吸器系といった粘膜面で産生されており、粘液免疫の関与が考えられ、IgA腎症では粘膜と骨髄の免疫応答の異常が示唆されています。
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