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IgA腎症 は糸球体メサンギウムへのIgAの優位な沈着を示すことを特徴とした世界で最も多い 原発性慢性糸球体腎炎 で、日本でも40〜50%を占める主要な疾患です。さらに、発症から約20年の経過中に30〜40%が末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)に至る予後不良な疾患であることから、発症・進展機序の解明と有効な治療法の確立が求められています。近年わが国から行われるようになった扁桃腺摘出術+ステロイドパルス療法が寛解を目指せる治療として注目されています。
IgA腎症の発症形式は偶然に発見される“チャンス蛋白尿・血尿”が最も多く約70%を占めており、早期発見のための学校検尿および職場検尿が重要視されています。
IgA腎症の発症メカニズムについては、多くの研究者によりIgAの産生機序、糸球体への沈着から細胞増殖、進展機序、疾患感受性遺伝子などの解明がすすんでいますが、IgA腎症は多因子疾患であり、抗原の多様性、IgA免疫の複雑性などによりいまだ不明な点が多くあります。
現在までにわかっているメカニズムの概要は以下のとおりです。
1)IgA腎症惹起抗原
IgA腎症は、何らかの抗原刺激によりIgA免疫複合体が産生され、糸球体メサンギウムに沈着する免疫複合体疾患であると考えられており、発症に関与する可能性が報告されている主な抗原には、牛乳・卵白アルブミン・グルテン・グリアジン・カゼイン・大豆抗原・コメ蛋白などの食物抗原やHaemophilus parainfluenza・Staphylococcus aureus・Yersinia・mycopulsasmaなどの細菌、アデノウイルス・ヘルペスウイルス・EBウイルス・サイトメガロウイルス・コクサッキ―ウイルスなどのウイルスがあります。また内因性抗原として、フィブロネクチン・ラミニン・IV型コラーゲン・ヒストン・内皮細胞・核・IgGなどがあります。
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