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透析アミロイドーシスは、長期にわたって血液透析を受ける腎不全患者に頻発する合併症であり、β2マイクログロブリン(β2-m)がアミロイド線維を形成します。また、全身性アミロイドーシスに属し、広範囲でアミロイド線維の沈着がみられますが、その多くは骨管節組織に沈着します。β2-m・アミロイド線維の沈着は、手根管症候群と呼ばれる手首の痛みや屈曲性障害を起こします。
長期血液透析患者においてβ2-m・アミロイド線維が形成される仕組みは、次のように考えられています。β2-mは定常的に代謝され、血中に放出されています。健常者では、血液中のβ2-mは腎臓の糸球体で原尿分画にろ過され、尿細管で再吸収され尿細管細胞で分解されます。しかし、腎臓が正常に機能しない患者では、この代謝が低下し血中β2-m値が著しく高くなります。また通常の透析膜では分子量約1万のβ2-mを十分に除去できないため透析治療を繰り返しても低下させることができません。
現在、透析膜の改良やβ2-m吸着カラムの利用によって、体内に蓄積される量を減少させるための努力がされています。一方でβ2-mがアミロイド線維を形成する機構や、形成されたアミロイド線維が組織に沈着する機構を解明し、病気の治療や予防に役立てることが重要です。
症状と診断
手根管症候群は典型的症状です。透析患者の手根管症候群は、夜間に激しい疼痛を訴え、拇指球筋の委縮、弾発指、肩痛などを合併するのが特徴です。手根管症候群に加えて、全身の骨・管節滑膜を侵し、骨嚢胞・腸恥滑液包炎などをはじめ多彩な骨・管節症状が引き起こされます。
治療と予防
透析アミロイドーシスに対する根本的治療法は確立されていませんが、高性能透析膜ダイアライザーの使用やβ2-m吸着器(リクセル)の使用することで血中のβ2-mを積極的に除去する対策が効果があるとされています。
手術的治療として手根管開放術・滑膜切除術・神経剥離術などが行われます。また、腎移植は最も有効な治療法です。腎移植が成功すれば、少なくとも新たな骨嚢胞発生は起こりません。移植後に臨床症状は改善されますが、アミロイド沈着が消失するか否かは明確ではありません。
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