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低線量・低線量率のリスクを評価する際に、国際規制機関は線量・線量率効果係数(dose and doserate effectiveness factor:DDREF)を用いてきました。DDREFは低線量・低線量率での長期の被曝が細胞の回復作用により、どの程度低減されるかを示す係数です。この値の検討に動物を用いた実験が利用され、線量率を100〜1,000倍以上変えた実験結果から、DDREFは1〜10(中央値で約4)とされました。国連科学委員会では安全側に立ち、DDREFは3よりも大きくないであろうとし、ICRP(国際放射線防護委員会)では2としています。
近年、ヒトで低線量率被曝した集団の癌リスクに関する直接的な報告がされました。15カ国の原子力施設の40万人に及ぶ従事者(平均年間被曝19mSv)の癌リスクが追跡され、白血病を除く全癌の過剰相対リスクは0.58/Svとなりました。さらに、南ウラル地方の各施設から流出したテチャ川流域の137Csや90Srの汚染による外部・内部被曝による癌死亡の結果も、固形癌の相対リスクが0.92/Svと高い値を示しています。
世界には、自然放射線のレベルの高い地区があります。インドのケララ地方では、外部被曝・内部被曝を合わせた線量が年間平均6.9mSv、中国の広東州でも平均6.4mSvです。いずれの地方においても癌死亡率は増加していません。
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