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22対の常染色体と2本(XとY)の性染色体からなる ヒトゲノム はヒトの生命の設計図であり、Matt Ridleyの表現を借りて次のように説明できます。
ゲノムという本は23章の染色体から構成され、各章には遺伝子という名の物語が2万数千存在します。物語は エクソン という段落で構成され、イントロン と呼ばれる広告で中断されていますが、段落は コドン という単語でできていて、単語は塩基という文字で書かれています。物語の内容がわかれば、ゲノムという本を理解でき、すべての生命現象を解明することが可能であると考えられました。
ヒトゲノム計画による塩基配列の解読が2003年に完了したとき、単一遺伝子疾患のみならす多因子病である生活習慣病の病因や発症機序に関する研究が進展し、治療法や対策が開発されることが期待されました。ゲノムが解読された暁には生命現象に関する詳細な情報が得られるという予想は、決して荒唐無稽であるとは言えなかったのです。しかしながら、生命現象は、ヒトゲノム塩基配列に関する情報のみで解明されるほど単純ではないことが明らかになり、ゲノムレベルの個人差やゲノム解析によって全ての疾患の病態を説明できるものではないことが再確認されました。さらに、mRNAの発現量や発現プロファイル、選択的スプライシングによるisoformsの存在、タンパク質の翻訳後修飾、DNAメチル化、そしてmicroRNAとRNA干渉などは、生命現象を重層的に把握するための新しい知見を提供しています。
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