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近年、脂肪組織は単なる脂肪の蓄積臓器ではなく、様々な生理活性を有する分泌蛋白を産生する臓器であることが明らかとなり、これらの分泌蛋白はアディポサイトカインと呼ばれています。アディポサイトカインは、ホルモンとも考えられており、脂肪組織は体内で最大の内分泌臓器であるといえます。
これまでに同定されたアディポサイトカインには、遊離脂肪酸、レプチン、TNF-α(tumor necrosis factor-α)、ASP(acylation-stimulating protein)、アディポネクチン、レジスチン、ビスファチン、RBP4(retinol binding protein-4)などがあります。これらの蛋白はそれぞれが高血糖や高血圧、脂質代謝異常、血管機能などに直接影響していいます。さらに、脂肪細胞の大型化や、内臓脂肪組織の蓄積、インスリン抵抗性、動脈硬化などの慢性血管合併症の進展に深く関係しています。内臓脂肪の蓄積とそれに伴うアディポサイトカインの分泌異常をもとにした病態の連鎖により、肥満症やメタボリックシンドロームは合併症を伴って進展していきます。
バスピンは炎症性アディポサイトカインやサイトカインを抑制し、炎症によるインスリン抵抗性のプロセスを制御するものと考えられています。
ヒト内蔵脂肪組織と皮下脂肪組織におけるバスピンmRNAの発現を検討した結果、23%の内蔵脂肪組織と15%の皮下脂肪組織で検出できましたが、BMIが25以下では検出されませんでした。一方で、2型糖尿病患者では発現陽性率が高かったとの報告があります。また、ヒトの内臓脂肪におけるバスピンmRNAの発現量は、BMI、体脂肪率、糖負荷試験の2時間血糖値と相関し、女性のほうが男性よりも優位に血中濃度が高いことも明らかになっています。
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