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サイトカインは細胞間の情報伝達を担う分子として単離・同定され、様々な疾患の病態形成に関与することが明らかにされています。サイトカインはお互いの発現や機能を調節しあうとともに、その組み合わせによって新たな機能を発現します。このようなサイトカイン同士のつながりをサイトカインネットワークと総称します。
自己免疫疾患においては、このサイトカインネットワークの破綻が病態形成に重要な働きをすることがしだいに明らかにされてきました。近年開発されたモノクローナル抗体や可溶性受容体によってサイトカインの機能を抑制する抗サイトカイン療法の優れた有効性は、自己免疫疾患の生体内におけるサイトカインの重要性の証左ともいえます。
関節リウマチ(rheimatoido arthritis:RA)と全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythmatosus:SLE)の病態とサイトカインネットワーク
RA患者では滑膜細胞が増殖し、血管新生とリンパ球浸潤を伴うパンヌスを形成します。TNF-α(tumor necrosis factor-α)はパンヌス内の滑膜細胞、浸潤T細胞から主として産生され、滑膜細胞増殖、血管内皮細胞活性化、他の炎症性サイトカイン・ケモカイン(IL-1、IL-6、IL-8、CC-chemokine ligand 2/monocyte chemoattractant protein-1など)発現、MMP発現、破骨細胞誘導・活性化を通じて骨・軟骨破壊を伴うRAの病態形成に深く関与します。IL-6はT細胞活性化、抗体産生、急性炎症性蛋白発現、vascular endothslial srowth factor 発現、破骨細胞分化誘導などを介してRAの病態を形成します。
近年、TNF阻害薬(抗TNF-αモノクローナル抗体および可溶性TNF受容体)あるいはヒト化抗IL-6受容体抗体による優れた臨床症状改善効果と骨破壊進行抑制効果が報告され、TNF阻害薬はわが国でもRA治療の切り札としてすでに3万人以上の患者に投与されています。
SLEではIFN-αが現在最も注目されているサイトカインです。SLEの免疫異常は、まず、ウイルス感染などによりpDCからIFN-αが産生され、単球はINF-αによりmDCへと分化誘導を受けると、アポトーシス細胞を取り込み、抗原提示を行い自己反応性T細胞の増殖・分化を促進します。一方、pDCから産生されたIFN-αは自己反応性T細胞、自己反応性B細胞を直接活性化します。さらにINF−αはDC上にBAFFあるいはAPRILを誘導し、自己反応性B細胞の活性化、クラススイッチ、形質細胞への分化を促進します。自己反応性CD4とT細胞は、自己反応性B細胞による自己抗体産生を扶助し、血中にDNAまたはRNAと自己抗体からなる免疫複合体がpDCを刺激しINF-αの産生を持続させることによりvicious cycleが形成されます。
・近年注目されているT細胞にかかわるサイトカイン
IL-12、IL15、IL-17、IL-23、IL-32
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