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近年、脂肪組織は単なる脂肪の蓄積臓器ではなく、様々な生理活性を有する分泌蛋白を産生する臓器であることが明らかとなり、これらの分泌蛋白はアディポサイトカインと呼ばれています。アディポサイトカインは、ホルモンとも考えられており、脂肪組織は体内で最大の内分泌臓器であるといえます。
これまでに同定されたアディポサイトカインには、遊離脂肪酸、レプチン、TNF-α(tumor necrosis factor-α)、ASP(acylation-stimulating protein)、アディポネクチン、レジスチン、ビスファチン、RBP4(retinol binding protein-4)などがあります。これらの蛋白はそれぞれが高血糖や高血圧、脂質代謝異常、血管機能などに直接影響していいます。さらに、脂肪細胞の大型化や、内臓脂肪組織の蓄積、インスリン抵抗性、動脈硬化などの慢性血管合併症の進展に深く関係しています。内臓脂肪の蓄積とそれに伴うアディポサイトカインの分泌異常をもとにした病態の連鎖により、肥満症やメタボリックシンドロームは合併症を伴って進展していきます。
近年注目されているT細胞にかかわるサイトカインとしてIL-12、IL15、IL-17、IL-23、IL-32があります。
1)IL-12
IL-12はp35およびp40の2種類のサブユニットから構成されるサイトカインで、樹状細胞(demdritic cell:DC)、マクロファージから産生され、TH1細胞分化を誘導します。IL-12は受容体を通じて細胞内にシグナルを伝達し、転写因子STAT4を活性化します。抗IL-12モノクローナル抗体を用いた臨床試験がクローン病、乾癬で進められており、有効性が期待されています。
2)IL-15
IL-15はマクロファージ、DC、線維芽細胞、上皮細胞などが産生し、T細胞とNK細胞の分化と成熟、マクロファージおよびDC活性化、血管内皮細胞遊走などを促進し、RAをはじめとする多くの疾患との関連性が報告されています。IL-15は、IL-15受容体α鎖、IL-2/15受容体β鎖、commonγ鎖から構成されるIL-15受容体を介してシグナルを伝達し、STAT3およびSTAT5を活性化します。完全ヒト化抗IL-15抗体(AMG714)の探索的試験ではRAに対する有効性が示されています。
サイトカインは細胞間の情報伝達を担う分子として単離・同定され、様々な疾患の病態形成に関与することが明らかにされています。サイトカインはお互いの発現や機能を調節しあうとともに、その組み合わせによって新たな機能を発現します。このようなサイトカイン同士のつながりをサイトカインネットワークと総称します。
自己免疫疾患においては、このサイトカインネットワークの破綻が病態形成に重要な働きをすることがしだいに明らかにされてきました。近年開発されたモノクローナル抗体や可溶性受容体によってサイトカインの機能を抑制する抗サイトカイン療法の優れた有効性は、自己免疫疾患の生体内におけるサイトカインの重要性の証左ともいえます。
関節リウマチ(rheimatoido arthritis:RA)と全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythmatosus:SLE)の病態とサイトカインネットワーク
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