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ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin-Induced Thrombocytopenia:HIT)はヘパリン投与患者におこる副作用で、免疫機序を介して血小板減少症、動静脈血栓塞栓症を引き起こす重篤な病態です。
ヘパリンは、血液透析・人工心肺などの対外循環装置使用時、血管カテーテル挿入時、静脈内留置ルートの血液凝固防止や播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療、血栓塞栓症の治療および予防など多岐に使用されます。
・HIT発症のメカニズム
1)ヘパリン投与患者は、血栓発症後および血栓形成の高リスク群の患者が多く、血小板が活性化されやすい状況下にある
2)活性化血小板は血小板特殊顆粒であるα顆粒を放出し、α顆粒から出た血小板第4因子(PF4)がヘパリンと結合する
3)PF4が構造変化を起こして新たな抗原性を発揮し、PF4とヘパリンの複合体に対する抗体(抗PF4/ヘパリン抗体)の産生を促し、その抗体の中で強い血小板活性化能を有するのがHIT抗体である
4)HIT抗体がPF4/ヘパリンと免疫複合体を形成する
5)この免疫複合体が血小板膜上のFcyRllaに結合し、血小板活性化される
6)活性化血小板から凝固促進因子であるマイクロパーティクル放出される
7)免疫複合体は単球を活性化して組織因子を発現させる
8)内皮細胞上ではヘパラン硫酸とPF4の複合体を抗原と認識してHIT抗体が結合し、内皮細胞が活性化され組織因子を発現する
9)凝固カスケードが進行しトロンビンが過剰に産生される
10)過凝固状態となり、血小板減少と血栓塞栓を生じる
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