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ヘパリンは播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療。血栓栓塞症の治療および予防、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時の血液凝固の防止、静脈内留置ルート内の血液凝固の防止(ヘパリンロック)など幅広く用いられていますが、その副作用として出血とヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)があります。HITはヘパリン使用者の0.3〜5%の頻度で起こるとされ、血小板減少と並んで血栓症を合併するため予後の悪い医原病の一種です。
血小板数が、10〜15万/μl以下に減少か、またはヘパリン投与前値と比較し50%以下に減少を認める場合にHITを疑います。
HITの発生には免疫機序が関与しており、体外から投与されたヘパリンと血小板の顆粒由来の血小板第4因子の複合体が新生抗原として認識されT細胞を介する免疫反応が作動し、Bリンパ球よりHITのIg抗体が分泌されます。分泌されたIg抗体は、抗原であるヘパリン・PF4複合体と結合し抗原・抗体複合体が形成されます。この複合体により血小板の活性化が起こり、強い凝固促進作用をもつ血小板由来のマイクロパーティクルの放出が、さらなるPF4の放出、単球、マクロファージ、血管内皮などと特異的に結合し、単球と血管内皮に組織因子が発現します。また、活性化血小板から新たに放出されたPF4はヘパリンと結合し抗原となり、さらに血小板の活性化を招くという悪循環が起こります。
HITの治療として、ヘパリンの中止と平行して抗トロンビン剤(アルガトロバン)を投与することで、HITの予後が著しく改善することがわかっています。
また、HITに血栓が合併するとHIT-associated thrombosis(HITT)と称され、予後は一段と悪くなるため早期の診断治療が求められます。
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