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後期高齢者の患者のなかには、特別な食事療法を行っていないにも関わらず1年ほどでゆっくり体重が減ってきたり、疲れやすさ、体力の衰えを訴えることがあります。
ICD10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版)によれば、このような病態の診断名としてFrailty(R54)があります。そこにはAgerelated physical debility(加齢による身体の衰弱)との説明があり、加齢に伴う様々な機能変化や生理的な予備能力の低下によって健康障害を招きやすい状態と解釈されます。
Frailtyの日本語訳はこれまで「虚弱」が使用されていましたが、「老衰」「衰弱」「脆弱」といった訳も使用されることがあり、加齢に伴って不可逆的に老い衰えた状態という印象を与えてきました。しかしながら、Frailtyの概念には、しかるべき介入により再び健常な状態に戻るという可逆性が含まれているため、Frailtyになっても早期に発見し、適切な介入をすることにより、生活機能の維持・向上を図ることが期待できます。また「虚弱」という訳語では、Frailtyのもつ多面的な要素、すなわち身体的、精神・心理的(認知機能障害、うつ等)社会的(独居、貧困、社会参加の欠如等)側面のニュアンスを十分に表現できていないため、日本老年医学会はFrailtyの認知度を高め、予防の重要性を広く啓発するため、Frailtyのより適切な日本語訳の検討を行った結果「虚弱」にかわって「フレイル」という表現を用いることにしました。
フレイルの評価について様々な尺度や表現法が提唱されていますが、Friedらは、体重減少、易疲労感、筋力低下、歩行速度低下、身体活動性の低下のうち3項目以上該当した場合をフレイル、1〜2項目に該当した場合をプレ・フレイル(フレイルの前段階)と定義しています。
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