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腫瘍マーカー は腫瘍に特異的に発現する蛋白や抗原であるものが多いのですが、胎児や胎盤・卵膜などの妊娠組織にも発現するものがあります。したがって生理的に妊娠中に高値となるものがあることに留意いなくてはなりません。例えば、卵巣腫瘍のマーカーとして頻用されるCA-125は、脱落膜や羊水中に大量に存在するとされ、妊娠初期には高値を示し、全妊娠の60〜70%で35U/ml以上を示し、生理的増加の上限は200〜350U/mlととされています。
また肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍のマーカーであるα-フェトプロテイン(AFP)は本来胎児の主要な蛋白です。妊婦血中でAFP濃度は妊娠初期から増加し、妊娠32週をピークに非妊娠時の20倍程度に達します。これは胎児に大量に存在するAFPのごく一部が、羊水を通じて間接的に、あるいは直接母体血中に流入するためと考えられます。CEA、CA19-9、STNは妊娠により影響を受けません。
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