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妊娠に伴う造血系の変化として、水血症・鉄欠乏性貧血・血小板の軽度減少がみられます。
1)水血症
エリスロポエチン増加などによる造血機能の亢進により赤血球は増加するものの、それ以上に血漿量が増加するため、水血症(hemodilution)と呼ばれる状態になり、血中ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値は低下します。これらの変化により血液粘度は低下し、微小循環での血流が促進されます。子宮胎盤循環も促進されることになり、発育中の胎児への酸素・栄養運搬や老廃物処理がしやすくなります。
2)鉄欠乏性貧血
発育中の胎児では鉄の需要が高まりますが、女性では貯蔵鉄が少ないため妊婦は胎児に鉄を奪われ、鉄欠乏性貧血をきたしやすくなります。白血球数は妊娠初期から徐々に増加し、妊娠中期には6000〜12000/μl程度へと増加します。分娩時にはさらに増加し20000/μlを超えることもあります。この増加の大半は好中球の増加でリンパ球は減少します。
3)血小板の変化
血小板数は非妊娠時に比べてごく軽度減少傾向を示し、また血小板の大きさはやや増大します。これは妊娠により血小板の消費(破壊)が高まった結果、血小板寿命が短縮し幼若な血小板の出現率が増加したためと考えられます。
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