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妊娠に伴う検査値の変化で、循環系では末梢血管抵抗の低下と血管容量の増加、循環血液量の増加、拡張期血圧の軽度低下、下肢静脈圧の上昇がみられます。
1)末梢血管抵抗の低下と血管容量の増加
妊娠初期より全身の末梢血管抵抗は低下します。その原因として、プロゲステロンやプロスタサイクリン、一酸化窒素による血管平滑筋弛緩作用(血管拡張)、アンギオテンシンIIに対する血管感受性生理的低下などが考えられます。また子宮や胎盤の発育に伴う子宮胎盤血管床(血管容量)の増大も、全身の末梢血管抵抗の低下に影響していると考えられます。
2)循環血液量の増加
妊娠初期より循環血液量は増加し、妊娠32週頃には非妊娠時の30〜50%増加します。1回心拍出量もそれとともに増加します。循環血液量増加にはRAA系の活性化が関与していると考えられています。心拍数も妊娠初期から増え妊娠末期には約20%増加し、これにより心拍出量も増加をきたします。循環血液量の増加により、子宮血流が増加し胎児への栄養や酸素供給に役立つとともに、分娩時の出血に備えることができます。
3)拡張期血圧の軽度低下
血圧は心拍出量増加よりも末梢血管抵抗低下の影響をより強く受けるため、一般に妊娠中は軽度低下し妊娠中期に最低となります(約10mmHg程度の低下)。この低下は拡張期血圧や平均血圧(拡張期血圧×2/3+収縮期血圧×1/3)で主に現れ、収縮期血圧はあまり変化しません。拡張期血圧と平均血圧は、妊娠後半にはほぼ非妊娠時の値にもどります。
4)下肢静脈圧の上昇
妊娠により上肢静脈圧は変化しませんが、妊娠子宮により下大静脈が圧迫され下肢静脈圧は上昇します。妊婦で痔や下肢静脈瘤が生じやすいのはこのためです。
※RAA系:レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系
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