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1)CRP
高齢者感染症の重症度は、患者の栄養状態や行動能力(activity
of daily living:ADL)に大きく左右されます。高齢者では咳
・発熱などの典型的な病態や症状を示さず、食欲不振・意欲低下・
脱水症状などの全身症状が前面に現れ、感染症の診断に難渋するこ
とがあります。したがって、炎症の関与が疑われる場合には、客観
的指標としてCRPは有用ですが、免疫能の低下する基礎疾患(糖
尿病における好中球機能低下など)を有する場合は、感染症に羅患
しても自覚症状に乏しく、炎症反応の指標である白血球増加やCR
P上昇は軽度であるにもかかわらず、重症化することも多く認めら
れます。
高齢者では感染症があってもCRPが上昇しない場合があり、その
際は血清アミロイドAの測定が有用であるとされています。
高齢者の低栄養は、加齢により低下した細胞性免疫をさらに悪化さ
せ、肺炎や敗血症などの感染症を引き起こします。
2)自己抗体
生体の防衛機構である免疫能は、加齢により低下しますが、この変
化は主にT細胞系の機能にみられ、B細胞系の機能は比較的保たれ
ます。
T細胞系の機能低下は免疫寛容(トレランス)の破綻をもたらし、
自己成分に対する抗体が産生され、抗核抗体やリウマチ因子などの
自己抗体陽性率が増加します。高齢者では多くの場合、膠原病の発
症には結びつきませんが、一度は悪性腫瘍・ウイルス感染症・薬剤
(抗不整脈薬・抗結核薬・抗けいれん薬など)の関与を検索する必
要があります。
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