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高齢者の検査値は、加齢要因以外に環境要素(ADL、食事、生活
習慣など)が加わっています。一般成人の基準値を参考にして、そ
れらを考慮して判断する必要があります。
1)赤血球(RBC)・ヘモグロビン(Hb)・ヘマトクリット(Ht)
赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットは加齢に伴い減少します。
一般にHb11〜11.5g/dl以下を貧血とします。老人性貧血には、加
齢に伴ってみられ基礎疾患を有しない生理的貧血と基礎疾患を有す
る病的貧血があります。生理的老人性貧血の原因は骨髄脂肪化と有
核細胞数の減少が主因と考えられています。
病的貧血では、二次性貧血の頻度が高く、基礎疾患として慢性関節
リウマチ、結核を含む慢性感染症、甲状腺機能低下症などの内分泌
疾患、腎疾患、消化器疾患では潰瘍・悪性腫瘍・肝硬変・憩室症な
どに注意します。
また、鎮痛剤による胃炎・胃潰瘍などをきたしやすく、時にH2受容
体拮抗薬による骨髄抑制もあります。
慢性疾患に伴う貧血はACD(anemia of chronic disorders)と
総称され炎症性貧血とも呼ばれます。ACDは軽度から中程度の貧
血で小球性あるいは正球性の貧血を呈し、血清鉄も低値のため、し
ばしば鉄欠乏性貧血と誤診されます。鑑別点は、鉄欠乏性貧血では
血清フェリチン低値・総鉄結合能高値を示すのに対し、ACDでは
血清フェリチン高値・総鉄結合能低値を示すことです。
高齢者の貧血は貧血特有の自覚症状が少なく発見が遅れがちです。
2)白血球(WBC)
WBC数および白血球分画は加齢による変化を示しません。白血球
増加(10,000/μl以上)の原因としては一般成人と同様、感染症
(特に細菌感染症)・組織損傷・血液疾患・薬剤などが多いが、高
齢者では感染症時のWBC増加が著明でない場合が多く、正常時と
の比較が重要です。
3)血小板(PLT)
血小板数は加齢に伴う変化を示さないため、一般成人と同様の判断
基準になります。血小板凝集能は亢進しています。高齢者は多数の
基礎疾患を抱え、多種類の薬剤を服用していることが多いため、薬
剤に起因する血球減少をきたすことがあるので注意を要します。
4)凝固・線溶
凝固能の亢進があり血栓形成傾向がありますが、プロトロンビン時
間(PT)や活性化部分トロンビン時間(APTT)は一般成人と
変わりません。FDPの増加は高頻度に認められ、悪性腫瘍・感染
症・骨折・外科的侵襲に加え、動脈硬化性疾患が含まれます。
抗凝固作用を有するアンチトロンビン(AT)・プロテインCは減
少し、血管内皮細胞障害を反映する血中トロンボモジュリン(TM)
は増加します。
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