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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome:SSSS)は、皮膚の感染病巣に存在する黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥奪毒素(exfoliative toxin:ET)による全身性の疾患です。ETは表皮細胞のデスモグレイン1を破壊するため、表皮の剥離やびらんをおこします。
SSSSは新生児から6歳までの乳幼児に多く、1年を通じて発生しますが9〜11月頃が比較的多いとされています。
最近の問題点として、MRSAによるSSSSが増加していることがあります。MRSAによるSSSSの場合、βラクタム系抗菌薬が無効で、全身の皮疹を伴うために薬疹と誤診されることがあります。
症状は、発疹が現れる2〜3日まえから口狭炎・発熱・感冒様症状・倦怠感・頭痛などがあります。
生後1ヶ月までの新生児では38〜40℃の発熱、乳幼児では37〜37.5℃の発熱とともに、口囲の潮紅と眼脂がみられ、薄い痂皮に放射状亀裂を形成します。
翌日には頭部・腋窩・鼠径部が潮紅し、擦過痛伴うため身体に触れられることを嫌がるようになります。同時に、大小の多数の水疱ができ、強く皮膚を擦ると水疱ができるようになります。これが翌日には弛緩性水疱ないしびらん面に変わるとともに、全身に拡大します。そのため機械的摩擦が加わりやすい部位では広汎な表皮剥離が生じ、一見熱傷様の外観を呈します。
水疱は二次的に感染しやすく、とくに鼻孔周辺・口周辺・眼周辺などでは二次的な伝染性膿痂疹を生じ、痂皮が付着することもあります。また、咽頭発赤・頸部リンパ節腫脹が認められることもあります。
治療
輸液などの全身管理を行い、黄色ブドウ球菌に感受性がある抗菌薬(通常はβラクタム系抗菌薬)を投与すれば急速に治癒に向かい、皮疹はいっせいに落屑します。経過は2〜4週間で瘢痕を残すことなく治癒することが多いが、新生児や免疫不全がある場合は予後不良のこともあります。
最近はMRSAによるものも増えており、特に薬疹と間違われやすいSSSSは市中MRSAによる可能性が高く、このような場合はβラクタム薬とホスホマイシンの併用を行うか、8歳以上の場合はミノサイクリン、16歳以上の場合はニューキノロンを投与します。多くはこれらの薬剤で対応できますが、まれにリファンピシンやST合剤などの投与が必要な場合もあり、重症例では抗MRSA薬が必要になることもあります。
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