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アドレノメデュリン(ADM)は、1993年にわが国においてヒト褐色細胞腫組織中から単離・同定されたアミノ酸52個からなる生理活性ペプチドです。一酸化窒素やエンドセリンの産生亢進を介した強力な血管拡張作用を有し、その血中濃度は心不全患者の重症度に応じて増加することが知られています。ADM遺伝子は心血管系にとどまらず、神経系、泌尿生殖系、消化器系、呼吸器系など全身の組織で広範に発現しています。各臓器において、抗炎症作用・抗酸化作用を示すなど、免疫調整や代謝関連作用も含めた多彩な生理機能を発揮しています。
敗血症症例でその血中濃度は上昇し、ADM自体が容量依存性に抗菌活性を示すことから、感染症バイオマーカーとしての有用性が示唆されてします。しかし、ADMは血液循環中で急速に分解され、血中半減期は約20分で血中ADmの測定は事実上困難です。そのためADMの産生をよく反映する物質として、前駆体proADMが注目され、その中間領域フラグメントを測定することで臨床応用が検討されています。
感染症の有無(原因微生物の推定含む)
proADMの上昇は心疾患以外に、炎症性腸疾患や自己免疫疾患など、非感染性の疾患でも認められます。肺炎におけるproADM血中濃度の上昇や、その予後予測能が原因微生物の種類によらないことも報告されています。すなわち、感染症の存在診断や、原因微生物の推定診断におけるproADMの有益性は低いと考えられます。
感染症の治療効果
健常人にエンドトキシンを投与した研究では。proADM血中濃度は4時間でピークに達し、その後数時間で半減していており、感染症においても迅速でダイナミックな動態を示すと考えられ。経過評価への有用性が示唆されます。しかし、これまでの知見は限られており、proADMを感染の治療効果指標として利用した報告はありません。その理由として、proADM血中濃度は併存疾患の病態悪化によっても上昇しうることがあげられます。
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