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日本脳炎は、日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症であり、ヒトに重篤な急性脳炎をおこします。日本脳炎ウイルスはフラビウイルス科に属し、蚊で媒介されます。本症の患者を日本国内でみることはまれですが、中国や韓国、東南アジア等では依然として流行がみられます。水田に生棲するコガタアカイエカを媒介に、豚との間で感染を繰り返すうちにウイルスが増殖し、蚊の吸血時にヒトに伝播されます。
ヒトで血中に検出されるウイルスは一過性であり、量的にも極めて少なく、自然界では終末の宿主です。また、感染しても日本脳炎を発病するのは100〜1,000人に1人程度であり、大多数は無症状に終わります。
日本脳炎の潜伏期は6〜16日間で、定型的な病型は髄膜脳炎型ですが、脊髄炎症状が顕著な脊髄炎型の症例もあります。典型的な症例では、数日間の高い発熱(38〜40度あるいはそれ以上)、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈などで発病します。小児では腹痛、下痢を伴うこともあります。これらに引き続き急激に、項部硬直、光線過敏、種々の段階の意識障害とともに、神経系障害を示唆する症状(筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦、麻痺、病的反射など)が現れます。感覚障害は稀で、麻痺は上肢で起こることが多く、脊髄障害や球麻痺症状も報告されています。痙攣は小児では多く、成人では10%以下です。
検査所見では、末梢血白血球の軽度の上昇がみられます。急性期には尿路系症状がよくみられ、無菌性膿尿、顕微鏡的血尿、蛋白尿などを伴うことがあります。髄液圧は上昇し、髄液細胞数は初期には多核球優位、その後リンパ球優位となり10〜500程度に上昇しますが1,000以上になることは稀です。蛋白は50〜100mg/dl程度の軽度の上昇がみられます。
死亡率は20〜40%で、幼少児や老人では死亡の危険性は大です。精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、小児では特に重度の障害(パーキンソン病様症状や痙攣、麻痺、精神発達遅滞、精神障害など)を残すことがあります。
日本脳炎が疑われた場合は、血清のウイルス抗体価を調べます。
・日本脳炎 CF
基準値:最低希釈倍数 4倍
・日本脳炎 HI
基準値:最低希釈倍数 10倍
※単一血清では640倍以上(HI)32倍以上(CF)の抗体価であることが必要です。急性期と回復期のペア血清で抗体価が4倍以上上昇していれば、感染はほぼ確実となります。
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