麻疹(はしか)麻疹ウイルス抗体検査

麻疹ウイルスは一般に「はしか」といわれる疾患の起因ウイルスで、急性感染の診断にはHI法かEIA-IgMが推奨されます。

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麻疹(はしか)麻疹ウイルス抗体検査

麻疹ウイルス(measles virus)は一般に「はしか」といわれる疾患の起因ウイルスでパラミクソウイルス群に属するRNAウイルスです。
感染後はリンパ節、脾臓、胸腺など全身のリンパ組織を中心に増殖します。
主に飛沫感染により伝播し、感染後潜伏期10〜12日を経て発症し、38度前後の発熱が2〜4日間続き、倦怠感があり、不機嫌となり、上気道炎症状(咳・鼻水・くしゃみ)と結膜炎症状が現れ、次第に強くなります。
乳幼児では消化器症状として下痢、腹痛を伴うことがあります。発疹出現の1〜2日前頃に、口腔粘膜にKoplik斑といわれる塩つぶを撒いたような斑点が見られます。
特有の発疹が耳後部、頚部、前額部より出現し、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、2日後には四肢末端にまでおよびます。発疹が全身に広がるまで、39.5度以上の熱が3〜4日間続きます。発疹ははじめ鮮紅色扁平ですが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。発疹は次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色します。
合併症のないかぎり7〜10日後には回復します。

<合併症>
1)肺炎:麻疹の二大死因は肺炎と脳炎であり、注意を要する。
2)中耳炎:麻疹患者の約5 〜15%にみられる最も多い合併症の一つ
3)クループ症候群:喉頭炎および喉頭気管支炎は合併症として多い
4)心筋炎:心筋炎、心外膜炎をときに合併することがある
5)中枢神経系合併症:1,000例に0.5〜1例の割合で脳炎を合併する
6)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis :SSPE):ごくまれに感染数年後にスローウイルス感染症として発症することがある。

麻疹のウイルス抗体検査には次のものがあります。
・麻疹 IgG(EIA)
基準値:陰性(−)EIA価 2.0 未満
・麻疹 IgM (EIA)
基準値:陰性(−)EIA index 0.80 未満
・麻疹 HI
基準値:最低希釈倍数 8倍未満
・麻疹 NT
基準値:最低希釈倍数 4倍未満

中和試験(NT)が最も優れていますが繁雑で検査日数もかかるのでHI法が通常頻用されています。
なお、ワクチン接種者での一般的な抗体価変動は、HI法では8〜16倍ほど(ワクチン接種後10余年持続)で、EIA法では、IgGは低値陽性が持続し、IgMも3カ月程度までは陽性となります。ワクチンの効果判定にはEIA-IgGまたはHI、NT法が推奨されます。

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