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インフルエンザウイルスはウイルス粒子内の核蛋白複合体の抗原性の違いから、A・B・Cの3型に分けられ、このうち流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。
A型ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、HAには15の亜型が、NAには9つの亜型があります。これらは様々な組み合わせをして、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主に広く分布しているので、A型インフルエンザウイルスは人畜共通感染症としてとらえられています。特に、最近では、渡り鳥がインフルエンザウイルスの運び屋として注目を浴びています。
ウイルスの表面にあるHAとNAは、同一の亜型内で わずかな抗原性を毎年のように変化させるため、A型インフルエンザは巧みにヒトの免疫機構から逃れ、流行し続けます。これを連続抗原変異(antigenic drift)または小変異といいます。
連続抗原変異によりウイルスの抗原性の変化が大きくなれば、A型インフルエンザ感染を以前に受け、免疫がある人でも、再び別のA型インフルエンザの感染を受けることになります。その抗原性に差があるほど、感染を受けやすく、また発症したときの症状も強くなります。
さらにA型は数年から数10年単位、突然別の亜型に取って代わることがあります。これを不連続抗原変異(antigenic shift)または大変異といいます。インフルエンザウイルスのフルモデルチェンジで、新型インフルエンザウイルスが登場し、この新型に対する抗体はないため、世界的な大流行(パンデミック)となります。
インフルエンザの症状としては、突然の38〜39℃を超える発熱と頭痛、関節痛、筋肉痛などに加え、鼻汁、咽頭痛、咳などの上気道炎症状がみられ、全身倦怠感等の全身症状が強いことが特徴です。
流行期(我が国では例年11月〜4月)にこれらの症状がみられた場合はインフルエンザの可能性が高いと考えられます。潜伏期は1日から5日(平均3日間)とされています。通常、症状は約1週間で軽快することがほとんどですが、肺炎などを合併する場合もあり注意が必要です。また、インフルエンザには、軽症例や非特異的な症状を呈する例も多く、流行のピーク以外の時期に臨床所見だけで他の疾患と鑑別することは困難です。
確定診断は、咽頭ぬぐい液、うがい液、鼻腔吸引液などからのウイルス分離や、血液検査で抗体価の有意な上昇(抗体陽転あるいは急性期と回復期で4倍以上の上昇)の確認で行いますが、検査に日数を要することから臨床現場での実用性は高くありません。しかし、流行中のウイルス種の同定や、次シーズンのワクチン株選定のためにはこれらの検体からのウイルス分離が重要な情報となります。
臨床現場での診断補助のためには、発症早期にインフルエンザウイルス抗原を検出するための迅速診断キットが普及しており、通常30分以内に結果を判定でき、ベッドサイドや外来でも診断が可能です。
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