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マラリア原虫検査は血液塗抹標本を用いてマラリア原虫の有無を観
察し、その感染を判定します。
マラリアはハマダラカによって媒介される、熱帯、亜熱帯の発熱性
疾患です。蚊の唾液とともに人体に侵入した原虫は、肝細胞内で10
〜14日間増殖の後、流血中に入って赤血球に感染し、栄養体、分裂
小体を経て増殖を繰り返します。その結果、原虫の増殖サイクルに
よって、3日ないし4日などの周期的な発熱、悪寒、戦慄症状を呈し
ます。虫体は赤血球内で発育するため、溶血性貧血やビリルビンの
上昇といった所見がみられます。
左より輪状体 ring form ・栄養体 trophozoite ・生殖母体 gametocyte
マラリアには次の4種類が知られています。
潜伏期
熱帯熱マラリア 約12日
(英名 Tropical malaria / Falciparum malaria)
四日熱マラリア 約1ヶ月
(英名 Quartan malaria / Malariae malaria )
三日熱マラリア 約2週間
(英名 Tertian malaria / Vivax malaria )
卵型マラリア 約2週間
(英名 Ovale malaria / Ovale malaria)
国内では平安時代末期、平清盛がマラリアに罹患していたとされ、
当時「瘧(ぎゃく)」と呼ばれていました。終戦直後にも西日本で
マラリアの発生が報告されています。
現在わが国でみられる症例は、大半が海外で感染し、帰国後発症す
る輸入感染症例です。また航空機に乗って飛来したハマダラカが、
空港周辺の人を刺し感染が成立する「空港マラリア」も散発ながら
報告されています。国内発症例は診断が遅れ、重症化しやすいが、
周期的な熱発に溶血性貧血をみた場合、マラリアは想起すべき疾患
の一つです。
検査の採血には発熱が始まる頃が適しているとされますが、原虫が
少ない場合は発見が難しい事も多く、繰り返して採血するのが望ま
しい。なお、現在マラリアに有効なワクチンはなく、クロロキンや
メフロキンなどの予防薬が用いられます。クロロキン耐性マラリア
が流行している地域では、ドキシサイクリンが用いられます。
検査材料:EDTA加血液
検査方法:ライト染色・標本鏡検
陽性を示す病態 マラリア原虫感染症
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