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・慢性肝疾患
肝疾患の患者に対するインフルエンザワクチンの効果については、十分な研究がなされていませんが、肝硬変の患者に同ワクチンを接種した群では、インフルエンザ様症状の出現率やウイルス検出率が有意に減少したとする報告があります。血小板低下に伴う接種部位の皮下出血などをのぞき、症状が安定した慢性肝疾患の患者への接種は問題ないといえます。
・自己免疫疾患
ワクチン抗原による負荷が、自己免疫疾患の病態に影響を与える可能性については、全身性エリトマトーデス(SLE)においてワクチン接種の前後で自己抗体のレベルに差がなかったとする報告があります。また、抗原への曝露という点では、ワクチンより自然感染のほうがはるかに高いと考えられます。
インフルエンザワクチン接種の免疫応答に関しては、ワクチンを接種したリウマチ患者の抗体保有率は、健常人と同等であることが示されています。
抗リウマチ薬(DMARDs)やTNF阻害薬はいずれも、インフルエンザワクチンの免疫応答を妨げないとされています。
SLEの患者は、健常人に比べてやや免疫応答が減少します。特に、アザチオプリン、ステロイド薬、ヒドロキシクロロキンを使用中の場合は、免疫応答が低下します。
・免疫抑制状態
HIV感染者では、免疫能が保たれAIDSを発症していない段階においては、ワクチン接種によりほぼ良好な抗体価の上昇がみられます。CD4陽性Tリンパ球数が100/μL以上あればワクチン接種は価値がありますが、それより低下すると十分な抗体価上昇が期待できません。一方免疫抑制剤の影響については、腎移植や心臓移植の患者さんへのワクチン接種で、抗体価上昇は健常人と同等もしくはやや低下したとする報告があります。
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