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ネコひっかき病(cat scratch disease:CSD)は、おもにネコから
ヒトに伝播する人獣共通感染症で、その主要原因菌はBartonella
henselaeです。
ネコひっかき病は、受傷後約1〜3週間後に有痛性のリンパ節腫脹
および発熱を認める定型例から、パリノー眼腺症候群(*)、急性
脳症、多発性肝脾肉芽腫など非定型例の重症例まで、その臨床病型
は多彩です。
HIV感染者などの免疫不全患者では、細菌性血管腫症や細菌性肝
臓紫斑病を惹起することも知られています。また、宿主の免疫不全
状態の有無にかかわらず、菌血症を起こし、不明熱の原因菌にもな
ります。
近年、ノミやイヌからも感染することが明らかとなり、わが国のペ
ットブームの中、CSD患者の年間発生数は少なくとも1万人以上
と推定され、確定診断の重要性が増しています。
現在、グラム陰性桿菌である本菌の臨床材料からの分離培養は容易
ではありませんが、B・henselaeに対する抗体価を測定する血清学
的診断法およびDNA診断を中心に、その診断法が確立されてきて
います。
・血清学的診断法
1)間接蛍光抗体法:IFA
抗原用菌株としてB・henselaeATCC49882株を使用した、IgMおよ
びIgG抗体用抗原スライドに、希釈した被検血清をのせて反応さ
せ蛍光顕微鏡で観察する。明瞭に蛍光を発する菌体が観察された
場合を陽性とする。
基準値:IgM抗体20倍 IgG抗体64倍
2)酵素抗体法:EIA
簡便で判定に熟練を要さず、同時に大量の検体を処理できる利点
を有すしますが、現時点ではIFA法に比べ感度、特異性が劣る
ことから、実際にはあまり使用されていません。
※健常人のB・henselae抗体保有率
ネコとの接触なし 2.3%
ネコとの接触あり 12.5%
CSD患者の同居家族 21.4%
獣医学部の学生 14.7%
臨床材料からB・henselae検出する方法として、培養法・DNA診
断があります。
(*)パリノー眼腺症候群(Parinaud's oculoglanduar syndrome)
は、Parinaudが1889年に報告した臨床病型で、自然治癒傾向を示す
片眼性の肉芽性結膜炎と同側の顎下、耳介前リンパ節炎を伴った病
態をいいます。原因として、結核、クラミジア、梅毒、野兎病症な
どが報告されており、中でもネコひっかき病によるものがほとんど
を占めています。
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