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市中肺炎(community acquired pneumonie:CAP)は市中で発症し、NHCAPに該当しない肺炎です。主に健常者か軽度の基礎疾患をもつ患者に発症します。他の肺炎と異なり、若者から高齢者まで幅広い年代でみられ、原因微生物も細菌・非定型病原体・ウイルスなど多彩です。軽症で外来治療が可能なことも多いのですが、重症例も一部にみられます。
CAPの原因の頻度としては、肺炎球菌が最も高く、次いでインフルエンザ菌、マイコプラズマや肺炎クラミドフィラがあり、その他Moraxella catarrhalis、黄色ブドウ球菌、レジオネラ、ウイルスなど様々な微生物が原因となります。肺炎球菌は全年齢でみられますが、マイコプラズマ肺炎は若年層に多く、レジオネラ肺炎は温泉や公共入浴施設、循環式風呂の利用といった特徴的な病歴が得られることがあります。
CAPでは、治療方針決定のために5項目からなるA-DROPスコアを用いて重症度を分類します。
A-DROPとは5つのチェック項目の頭文字をつなげたものであり、スコア0を軽症(外来治療)、1〜2を中程度(外来または入院治療)、3を重症(入院治療)、4〜5を超重症(ICU治療)として推奨される治療環境を簡便に判断できるようにしています。
A-DROPシステム
A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
D(Dehydration):BUN 21mg/dl以上または脱水あり
R(Respiration):SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)
O(Orientation):意識障害あり
P(Pressure):血圧(収縮期)90mmHg以下
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軽症:上記指標のいずれも満足しないもの
中等度:上記指標の1つまたは2つを有するもの
重症:上記指標の3つ以上を有するもの。ただし意識障害・ショックがあれば1項目のみでも重症とする
超重症:上記指標の4つまたは5つを有するもの
CAPの原因菌で特徴的な点は、非定型病原体の関与が多いことです。細菌性肺炎と非定型肺炎では治療に用いる薬剤が異なるため、初診時の鑑別は重要です。
市中肺炎における細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別
1)年齢60歳未満
2)基礎疾患がない、あるいは軽微
3)頑固な咳がある
4)胸部聴診上所見が乏しい
5)痰がない、あるいは迅速診断法で原因菌が証明されない
6)末梢血白血球数が10,000/μl未満である
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6項目中4項目以上に合致した場合:非定型肺炎疑い
6項目中3項目以下に合致した場合:細菌性肺炎疑い
※非定型肺炎の感度は77.9%、特異度は93.0%
1)〜5)項目中3項目以上に合致した場合:非定型肺炎疑い
1)〜5)項目中2項目以下に合致した場合:細菌性肺炎疑い
※非定型肺炎の感度は83.9%、特異度は87.0%
(日本呼吸器学会 呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会:成人市中肺炎診断ガイドライン2007)
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