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クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は、芽胞を形成するグラム陽性の偏性嫌気性桿菌です。C.difficileは、化学療法剤や抗生物質などの投与中に、腸炎を引き起こす菌として有名です。原因となる抗菌薬の種類は多岐にわたっており、MRSAと共に院内感染の原因菌として問題になっています。
difficileという名称は、分離培養が困難(difficult)である事に由来しています。すなわち空気にきわめて弱い偏性嫌気性菌であり、検体の採取、分離、培養には相当の注意が必要でした。本検査はこれに対処するため、菌体の抗原成分を直接糞便中より検出するもので、比較的短時間に結果を得ることができます。
C.difficileは新生児の糞便中で約半数程度に認められ、また生後1カ月以内の乳児の30%程度に検出されますが、消化器症状をみることはきわめて稀です。健康な成人の糞便中にも、通常はごく少量のC.difficileが認められます。しかし糞便中で最優位菌として存在することはないため、抗菌薬の投与により腸内細菌叢が変化し、菌交代によって増殖を始め、一定量に達するとトキシン−A、トキシン−Bと呼ばれる毒素を産生します。
このような現象は抗癌剤投与によっても発生します。これらの毒素により、軟便などの軽症例から、高度な下痢や高熱、白血球増多を伴う偽膜性大腸炎にまで幅広い消化器症状を引き起こし、さらに低蛋白血症や電解質異常、腸閉塞に至る例もあります。
欧米では、偽膜性大腸炎のほとんどがC.difficileの感染によるものとの報告があります。
偽膜性大腸炎の確定診断は内視鏡検査により行なわれ、結腸部分にほぼ円形に隆起した白色ないし黄白色の偽膜が認められます。
C.difficileは、多くの抗生剤や化学療法剤に耐性です。除菌には原因抗菌剤の中止に加え、メトロニダゾールやバンコマイシンが比較的有効とされています。
検査材料:糞便
検査方法:EIA
陽性を示す病態
クロストリジウム・ディフィシル感染症
(抗菌剤投与中に下痢、発熱で発症し、偽膜性腸炎を起こす)
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