尿中有機溶剤 マンデル酸(MA)

有機溶剤であるスチレンの尿中代謝物。スチレン症などのスチレン暴露指標に用いる。

スポンサードリンク

尿中有機溶剤 マンデル酸(MA)

マンデル酸はスチレンの主要な代謝物です。スチレン(C6H5CH=CH2)は芳香族炭化水素の有機溶剤で合成ゴムやプラスティックなどの合成樹脂の製造などに用いられます。脂肪には溶解されやすく、水にはほとんど溶解されません。主に吸入により体内に吸収され、その1%程度がそのまま呼気として排出されますが、体内に取りこまれたスチレンは、スチレンオキサイド→スチレングリコール→マンデル酸へと代謝され、その約85%が尿中に排泄されます。その後はフェニルグリコール酸となって尿中に排泄される経路とベンジルアルコールから安息香酸、馬尿酸に代謝する経路の2通りがありますがヒトではこの代謝経路はみられません。

マンデル酸はスチレンのみの代謝物ではなく、スチレンと類似の構造をもつ物質、すなわちエチルベンゼンやフェニルグリコール、α-フェニルアミノ酢酸などもマンデル酸に代謝されます。また、エタノールの存在下ではスチレンの代謝が抑制され、マンデル酸の排泄が減少するので、尿採取前24時間はエタノールの摂取を避けて検査を行ないます。
スチレンに暴露されると頭痛、疲労、眩暈、嗜眠状態、自律神経不安定、視力低下、視野狭窄などのいわゆる「スチレン症」と呼ばれる中毒症状をおこします。

検査材料:尿
測定方法:HPLC
基準値:単位(g/l)
※産業衛生関連検査としての基準値・分布区分はこちら

▽尿中有機溶剤 マンデル酸(MA) のキーワード

▽次の記事、前の記事

馬尿酸 メチル馬尿酸 尿中有機溶剤 | 尿中有機溶剤 N-メチルホルムアミド

スポンサードリンク

健康診断・血液検査MAP:新着記事

新規保険収載 デングウイルス抗原定性
デングウイルス抗原定性検査は、国立感染症研究所が作成した「デング熱・チクングニア熱の診療ガイドライン」に基づきデング熱を疑う患者が、当該患者の集中治療に対応できる保険医療機関に入院を要する場合に限り算定できます。
DIC播種性血管内凝固の新診断基準 日本血栓止血学会2014
日本血栓止血学会は、厚生労働省DIC診断基準を修正したDIC診断基準暫定案を発表しました。アルゴリズムで、DICを「造血障害型」「感染症型」ならびに「基本型」の3つの病型に分けています。
新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の効果と副作用
新規糖尿病治療薬sodium glucose co-transpoter2(SGLT2)阻害薬はインスリン作用を介さずに腎尿細管を標的とした薬剤です。
メタボロミクスによる癌診断
メタボロミクスは、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、糖などの多種多様な低分子量代謝産物(メタボローム)を対象とした研究です。
膵グルカゴン 完全長膵グルカゴンを特異的に測定
完全長の膵グルカゴンを特異的に測定する研究検査項目です。
IgGサブクラスIgG2
IgGサブクラスIgG2検査はIgG2欠損症の診断、及び免疫グロブリン製剤の投与時に必要な検査です。
後天性血友病 APTTクロスミキシング試験
後天性血友病インヒビターの存在を知る簡便な方法としてAPTTクロスミキシング試験があります。
血液検査で癌の早期発見ができる miRNA検査
たった1滴の血液から、13種類もの癌を早期に発見できる・・これまでの常識を覆す、画期的な検査方法がミクロRNA(miRNA)検査です。
認知症を予防する MCIスクリーニング検査とは
MCIスクリーニング検査 とは、軽度認知障害(MCI)の兆候を早期に発見できるバイオマーカーを使用した血液検査です。
LOXインデックス 脳梗塞・心筋梗塞の発症リスク予測
LOX-index(ロックス・インデックス)は、脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを評価する最新の指標です。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint