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WT-1 遺伝子(Wilms tumor gene-1:WT-1)は、小児の ウィルムス腫瘍 の原因遺伝子として発見され、その後、白血病や固形腫瘍など様々な癌で発現が認められています。
正常な末梢血や骨髄ではほとんど認められませんが、白血病では高率に、そして顕著に高い発現量を示し、病期の進行や治療効果を反映するため、診断補助や経過観察に有用性が示されています。特に、急性骨髄性白血病(AML)の治療後の寛解期において、再発の兆候である微小残存病変(MRD)を感度よく検出するRT-PCR法による検査は、再発の早期診断の末梢血モニタリングに重要な役割を果たしています。
また、AMLへの移行のリスクが高い骨髄異型成症候群(MDS)においても、末梢血および骨髄液中での測定が診断補助または進行度のモニタリングに有用であることが示され、2011年8月より保険適用が拡大されました。
検査材料:EDTA加血液または骨髄液(保存液入り)
測定方法:RT-PCR(リアルタイムPCR)
※ウィルムス腫瘍
小児の腎臓に発生する代表的な悪性腫瘍で、小児の腎腫瘍の90%はウィルムス腫瘍です。発生学的には中胚葉の後腎芽組織(後腎腎芽細胞metanephrogenic blastemaという組織)に由来する腫瘍で、必尿生殖器系(尿管異常・停留精巣・尿道下裂・水腎症など)、筋・骨格系(片側肥大・四肢変形など)、皮膚・循環呼吸器系など合併奇形が多いことがこの腫瘍の特徴です。原因遺伝子として、11番染色体上の癌抑制遺伝子 WT-1 の変異が認められていますが、このWT-1の異常がない腫瘍も多く存在します。
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