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分子標的治療薬とは、癌で特に活性化していて癌の増殖に強い影響を及ぼしている分子に対して、特異的なブロッカーの役目をする抗癌剤をいいます。この分子標的治療薬に適応か否かを決定するには、癌に標的分子の活性化を証明する事が必要です。
肺癌では上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異検査が分子標的薬ゲフィチニブ(イレッサ)またはタルセバの薬剤適応を調べるために必要な検査です。また、大腸癌の分子標的抗癌剤セツキシマブでは、k-ras遺伝子変異を検査することが重要とされています。
ゲフイチニブの抗腫瘍効果は、変異EGFR(ゲフィチニブ感受性遺伝子変異)による異常な「細胞生存」シグナルを遮断することで発揮されます。EGFR遺伝子変異の認められる症例では、70%に腫瘍縮小効果(partial response:PR)が認められます。
株式会社ダナフォームと理化学研究所が共同開発した「核酸の増幅法およびこれを利用した変異核酸の検出法」であるSmart Amplification Process(SMAP)法は、血液1滴から遺伝子を特異的に増幅して検出する簡便・迅速・安価な新しい遺伝子検出技術です。SMAP法を利用したEGFRとk-rasの遺伝子変異検出試薬も研究用として販売されています。
・SMAP法を利用した遺伝子変異検出試薬の特徴
1)反応が等温(60℃)で進行。
2)特徴的な5本のプライマーセット及び新規の鎖置換型DNA合成酵素を用い、増幅反応が30分程度で終了。
3)ミスマッチ結合タンパク質の存在下で増幅反応を行うため、非特異的な増幅が抑制され、特異性が高い。
4)DNAの精製工程なしに、簡便な前処理をした血液を反応液に加えて増幅可能なため操作が簡単。
5)国産技術で特許取得しており、さらに酵素も独自開発で安定供給が可能なため、安価に試薬を提供できる。
このキットでの測定にはリアルタイムPCR装置が必要ですが、増幅の副産物としてチューブ内に増幅産物依存的にピロリン酸マグネシウムが産生されることによって生じたチューブ内の白濁を濁度測定装置で測定することにより簡便に遺伝子変異を検出する方法も研究されています。
▽SMAP法によるEGFR遺伝子変異、k-ras遺伝子変異の検出 のキーワード
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