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前立腺特異抗原(PSA)は、前立腺癌のスクリーニング、診断、な
らびに経過観察の最も優れた血清学的指標として汎用されています
が、前立腺肥大症(BPH)でも軽度上昇を示すことが知られていま
す。このため、癌症例とBPH症例のいずれもが高頻度に分布し得る
総PSA値「4.1〜10.0ng/ml」の領域は診断的グレイゾーン(diagnostic
gray zone)と呼ばれ、癌・非癌の鑑別のための新たな指標が求め
られていました。
近年、PSAの血中存在様式の研究から、総PSAに対する遊離型(蛋白
非結合型)PSAの割合(F/T比)が前立腺癌患者と非癌患者とで異な
ることが明らかになりました。すなわち、前立腺癌患者のF/T比は
非癌患者に比べて有意に低値であり、上記グレイゾーン領域におけ
るF/T比の測定は前立腺癌の診断精度向上に貢献すると考えられます。
前立腺癌患者では、アンチキモトリプシン(ACT)と結合したPSA
(PSA-ACT)が、肥大症患者の血中より増加しています。このため、
F/T比の低下とPSA-ACTの増加が前立腺癌診断の指標となります。
検査材料:血清
基準値:0.15以上
測定方法:CLEIA
高値を示す病態 前立腺癌
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